【4月14日 AFP】香港のアカデミー賞とも称される「第27回香港電影金像獎(27th Hong Kong Film Awards)」授賞式が13日に開催され、ジェット・リー(Jet Li)主演、ピーター・チャン(Peter Chan)監督の映画『The Warlords』が最優秀作品賞、監督賞、主演男優賞を含む8部門を独占した。

■主演男優賞ピーター・チャン、助演男優賞アンディ・ラウ

 19世紀、清王朝を舞台にした同作品は、別の作品でノミネートされていた主演男優賞を惜しくもリーに譲ったアンディ・ラウ(Andy Lau)など、豪華キャストによる歴史超大作。主演男優賞を獲得したリーは、「これまでにカンフー映画をたくさん作っていなければ、20年前に主演男優賞をもらえたかもしれない」と冗談を交じえスピーチした。

 2作でノミネートされていたラウは、最優秀編集賞を受賞した映画『Protege』で、助演男優賞を獲得した。『Protege』はラウ演じるマフィアのボスがその生き方に、おとり捜査官を引き付けていく犯罪サスペンス。受賞スピーチでラウは「この役を演じれば、映画業界全体から高い評価を受けるだろうと言われた」と明かした。歌手としても活躍するラウは、主題歌賞にもノミネートされていたが、映画『Love is Not All Around』の主題歌が競り勝った。

 授賞式会場となった香港文化センター(Hong Kong Cultural Centre)は香港のメディアと、横断幕などを掲げて歓声を上げる何百人ものファンでいっぱいになった。

■故リディア・サムとゴールデン・ハーベスト創設者に功労賞

 第2次大戦を舞台とし、物議を醸したアン・リー(Ang Lee)監督の映画『ラスト、コーション/色・戒(Lust, Caution)』はアジア映画賞を受賞。同作は露骨なベッドシーンと、日本軍の占領に当時の政府が協力したとする主題が、本土政府の検閲にぶつかっている。
 
 主演女優賞には、一風変わった映画『The Postmodern Life of My Aunt』で、俳優チョウ・ユンファ(Chow Yun-fat)演じるアマチュアの京劇役者に恋する60代の女性を演じた女優Siqin Gaowaが輝いた。

 脚本賞は、2007年のヴェネチア国際映画祭(Venice International Film Festival)でも喝采を呼んだ犯罪映画『マッド探偵(Mad Detective)』。本来、多作なジョニー・トー(Johnnie To)監督は、昨年のブランクから順調に復帰した。

 映画『Eye in the Sky』からは、ヤウ・ナイホイ(Yau Nai-Hoi)監督が新人監督賞に、女優のKate Tsuiが最優秀新人賞にそれぞれ選ばれた。

 また「肥肥(Fei Fei、おでぶさん)」の愛称で親しまれ、今年初めにがんで亡くなった女優、故リディア・サム(Lydia Shum)に功労賞が、香港映画の大御所、レイモンド・チョウ(Raymond Chow)には生涯功労賞が贈られた。

 英国による香港統治時代にチョウが設立した映画会社ゴールデン・ハーベスト(Golden Harvest)は、アクションスターのジャッキー・チェン(Jackie Chan)や伝説的カンフー俳優、ブルース・リー(Bruce Lee)などの才能を発掘してきた。

 香港映画は1970年代に全盛期を迎えたが、近年では興行収益が落ち込み厳しい時代に直面している。しかしながら、スター役者たちはアジア全域で絶大な人気を誇っている。(c)AFP/Guy Newey