【4月10日 AFP】(写真追加)米サンフランシスコ(San Francisco)で9日行われた北京五輪の聖火リレーで、出発地点付近でチベット(Tibet)の旗を振ろうとした中国系米国人が中国政府支持派の人びとに囲まれ、小競り合いとなる騒ぎがあった。

 スタンフォード大学(Stanford University)の医学生Xiao Tanさん(32)は、手にしていたチベットの旗を奪われそうになりながら「わたしは中国に誇りをもっているが、チベットで行われていることは我慢ならない。だからここにやってきたんだ」と述べた。

 Tanさんは「すべての中国系米国人が、中国に対し無批判な愛国心をもっているわけではないことを世界に知ってもらいたい」と訴えたが、周りの群衆がメガホンで「五輪は政治ではない」「嘘つきCNN」と叫びだし、Tanさんの主張をかき消した。

 聖火リレー出発地点のChina Basinには70人以上の警察官によって非常線が張られ、厳重な警備態勢が敷かれた。集まった約2000人は多くが中国国旗や米国旗、パリ(Paris)やロンドン(London)での聖火リレー妨害を批判するプラカードを持参した。

 上空では、中国支持派とチベット支持派の双方がそれぞれのメッセージを記した横断幕をつけた小型機を飛ばし、宣伝合戦を繰り広げた。

 中国支持派の横断幕には「チベットは常に中国の一部」「がんばれ北京。がんばれ五輪」などと書かれ、一方のチベット支持派の横断幕には「サンフランシスコはチベットを支持する」「聖火リレーはチベットを通るな」などのメッセージが見られた。(c)AFP