【4月1日 AFP】カナダ当局は31日、セントローレンス(St. Lawrence)湾でカナダ沿岸警備隊(Coast Guard)の砕氷船と動物愛護団体シー・シェパード(Sea Shepherd Conservation Society)の船が接触したと発表した。負傷者は出ていない。シー・シェパードは毎年このシーズンに行われるアザラシ漁に抗議するため船を出していた。

 漁業海洋省(Department of Fisheries and Oceans)広報官によると、沿岸警備隊の船舶Des Groseilliersが、シー・シェパードの船舶ファーレイ・モワット(Farley Mowat)に2度「かすった」。船舶への損傷は一切なく、負傷者も出ていないという。

 一方、ファーレイ・モワットのアレックス・コーネリッセン(Alex Cornelissen)船長は、アザラシ猟の船に接近しないようにとの警告を無視したところ、左舷船尾に2度「ぶつけられた」と発表した。

 ロヨラ・ハーン(Loyola Hearn)漁業海洋相(Fisheries and Oceans Minister)は、ファーレイ・モワットは沿岸警備隊船舶の正面に移動し、意図的に接触を引き起こしたもので、ファーレイ・モワット側の主張は「全く事実に反する」として非難した。

 また、このような手法は「アザラシ猟の安全を脅かすもの」として、ファーレイ・モワットにこの海域を離れアザラシ猟を警護している沿岸警備隊の船舶を攻撃しないように呼び掛けた。

 今年のタテゴトアザラシ猟は3月28日に始まった。明け方にカナダ・ケベック(Quebec)州Magdalen諸島を少数の猟船が出発し、アザラシの群れを追っている。活動家の船がさらにその後を追っている。

 物議をかもしているアザラシ猟は、毎年、流氷や強風、厳しい寒さ、不安定な天候といった悪条件の中行われる。28日には流氷に衝突した船舶1隻がアザラシ猟の途中で帰港し、29日には、船舶事故が起こりアザラシ猟師3人が死亡、1人が行方不明となっている。(c)AFP