【3月26日 AFP】(一部更新)フランスのパリ(Paris)の国立自然史博物館(National Museum of Natural History)で25日、イカとして世界で初めてプラスティネーションと呼ばれる技術で作成された全長6.5メートルの巨大イカの標本が公開された。

 公開されたのはニュージーランドから寄贈された深海に生息するダイオウイカ(学名Architeuthis sanctipauli)の標本で、2000年1月、ニュージーランドの漁師が水深615メートルの海底から捕獲した。

 先住民族マオリ(Maori)の神話に登場する海の怪物、テ・フェケ・ア・ムツランギ(Te Wheke o Muturangi)にちなみ、「フェケ(Wheke)」と呼ばれている。神話では、フェケはマオリ語でニュージーランドを指す「アオテアロア(Aotearoa、長く白い雲の国を意味する)」にポリネシアの民を乗せたカヌーを招き寄せたとされる。

 プラスティネーションは生物の水分や脂質など体内の液体を、硬化する合成樹脂に置き換える標本作成技術。ガラス容器のせいでゆがんで見えるホルマリンやアルコール漬けの標本と異なり、乾いた状態の標本を立体的に観察できる。

 イカは死んだ後、2.5メートル収縮。その後、イタリアの研究所VisDocta Researchが2年半をかけてプラスティネーション処理を行った。費用は6万5000ユーロ(約1020万円)。自然史博物館では進化の過程を示す大展示室で、生物の多様性を示す代表的な標本として公開されている。

 3種の亜種があるダイオウイカ属は、海にまつわる神話や物語に出てくる触手で船をつかみ、海底に引きずり込む巨大生物のモデルと考えられている。フランスの作家ジュール・ベルヌ(Jules Vernes)の『海底2万マイル(20,000 Leagues Under the Sea)』にも、潜水艦ノーチラス号が巨大イカと戦うシーンが出てくる。

 しかし実際にはそれほど大きくはなく、尾びれから触手の先までは13メートル前後。雄よりも雌のほうが大きい。世界最大の無脊椎動物はダイオウホウズキイカ(学名:Mesonychoteuthis hamiltoni)で、ダイオウイカより多少大きく14メートル程度だという。(c)AFP