【3月24日 AFP】ヒマラヤ(Himalaya)山脈の王国ブータンで、絶対君主制から立憲君主制への移行の総仕上げとなる初の国民議会(下院)選挙が実施される24日、選挙実施に異議を唱える左派反政府勢力が「戦いの強化」を誓う声明を発表し、攻撃を予告した。同勢力は相次ぐ爆弾事件の犯行団体とされている。

 声明を発表したのは、United Revolutionary Front of BhutanURFB)で、「人民のための」戦いを強化する」とし、「治安部隊や『いわゆる』選挙で競いあう『いわゆる』議員らを標的にした攻撃的なキャンペーンを行う」と宣言している。

 また、初の総選挙についてURFBは、「ジグミ・シンゲ・ワンチュク(Jigme Singye Wangchuck)前国王が自らの不正行為を国際社会の目から隠ぺいするためのうわべだけのものだ」と批判した。

 ブータンではこれまで約1世紀にわたりワンチュク王朝による絶対君主制が続いてきた。

 URFBはネパール南部にあるブータン難民のキャンプから生じたグループとみなされている。国連が資金援助したネパール国内のキャンプには、1990年代にブータンが厳格な国家イデオロギー支配を開始し、少数民族を追放したとみられる頃から、ネパール系ブータン人約10万7000人が暮らしている。

 米国はこのキャンプの難民6万人の受け入れを申し出、約2万5000人が申請した。これまでに100人がすでにネパールを出国、ブータンで選挙が行われる24日にはさらに出国する予定だ。

 27歳の難民は「この選挙を受け入れられるとは、難民の誰も思っていない」と語った。キャンプの生活は苦しく、難民らが持つスキルも生かされる機会がないので米アトランタ(Atlanta)州へ移住するというが、「わたしの祖国はブータン。戻りたい」と述べた。(c)AFP