【3月24日 AFP】ヒマラヤ(Himalaya)山脈の王国ブータンで24日、絶対君主制から立憲君主制への移行の総仕上げとなる初の国民議会(下院)選挙が行われる。1世紀近くに及んだワンチュク(Wangchuck)王室の統治が終わりを告げ、民主化が実現する。

 今回の下院選では、国民民主党(People's Democratic PartyPDP)とブータン調和党(Druk Phuensum TshogpaDPT)が、同国初の民主主義政権をかけて下院47議席を争う。両政党とも、経済成長と道路などのインフラ整備を公約に掲げる。有権者数は31万8000人あまり。

 ブータンでは王室の人気が高く、民政移行に消極的な国民も少なくない。こうした中、直前の週末には2006年に即位したジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク(Jigme Khesar Namgyel Wangchuck)国王自ら、「何よりもまず投票を」と国民に呼びかけた。同国王は英オックスフォード大学(Oxford University)で学んだ経験を持つ。

 ブータンの民主化は、2001年にジグミ・シンゲ・ワンチュク(Jigme Singye Wangchuck)前国王が自ら権限を議会に委譲し、プロセスを主導してきた。息子の現国王とともに国内を行脚し、ブータン国民67万人余に民主化の必要を説いて回ったワンチュク前国王は、国営クエンセル(Kuensel)紙によると、「今日の国王は良き君主でも、もし悪しき君主が現れたらどうするのだ?」と人々を諭したという。

 投票は現地時間午後5時に締め切られ、即日開票される。最終結果は25日に発表される。(c)AFP/Parul Gupta