【3月21日 AFP】ブルガリア政府は19日、第2次世界大戦時で使用された戦車の部品の競売を開始した。一部の部品には、すでに1万4000ユーロ(約210万円)の値が付いているという。同国国防省が明らかにした。

 同省によると、競売にかけられたのは、冷戦時代にトルコとの国境防衛に使用されていた旧ソ連製のT-34戦車140台の部品などだという。

 注目を集めているのは、ナチス(Nazi)ドイツ製のPanzer戦車や戦車駆逐車だという。これらは今年後半に競売に掛けられる予定。また、5月には、41台のドイツ製戦車の競売も予定されている。

 1万4000ユーロの値段が付いたのは、旧ソ連製の戦車の砲塔だとされるが、競売による落札額の総額は20日に発表されるという。

 ブルガリアが保有していた戦車のほとんどは処分された。例えば、06-07年の間に、旧ソ連時代の戦車2500台がスクラップ処分された。

 だが、ブルガリアは当時、ワルシャワ条約機構(Warsaw Treaty Organization)と敵対する北大西洋条約機構(North Atlantic Treaty OrganizationNATO)加盟国のトルコとの国境に塹壕(ざんごう)を掘り、戦車を半分埋めた形で保有していた。これは、NATOの攻撃があった場合の防衛線を維持するためのものだった。

 1991年にワルシャワ条約機構が解体されると、軍内部ではこれらの戦車や塹壕(ざんごう)は忘れ去られた存在になった。だが、盗掘者だけは別だった。戦車に備え付けられた銃や扉、砲塔などは取り外され、密売され、経済的に困窮していたブルガリアでは、もうかるビジネスとなった。

 前年には、貴重なドイツ製のJagdpanzer IV戦車駆逐車が盗まれ、ドイツ人2人とブルガリア軍関係者1人が窃盗容疑で逮捕されている。(c)AFP