【3月20日 AFP】(3月21日 一部更新)中国チベット(Tibet)自治区ラサ(Lhasa)の大規模暴動に対し、部隊を派遣している中国軍が20日、配備を大幅に増強したと報じられた。ラサ市街には中国軍兵士数千人の姿があるという。同日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世は、中国軍の弾圧によりチベット族の中に多くの犠牲者が出た可能性があると懸念を表明、胡錦濤(Hu Jintao)国家主席とも会う用意があると述べた。

 チベット自治区および周辺の各省では中国軍の配備強化にともない、各地で車両の長い隊列が進軍していると目撃者や人権活動家、メディアなどが報告した。中国政府による同自治区の統治に反対する抗議行動が暴動へと発展してから、約1週間が経過している。

 独「ツァイト(Die Zeit)」紙の特派員ゲオルク・ブルーメ(Georg Blume)氏は20日朝、ラサで撮影した写真を示しながら「軍事車両の大きな隊列、さらにその後ろに部隊が続くのを見た」と証言した。隊列は長さ2キロ、1台に兵士約30人が乗ったトラック約200台が連なっていたという。「概算すれば一個の隊列にいた兵士は約6000人」となる。

 市街には治安部隊が出動しているほか、中国軍が各戸をまわり非常に緊張した状況だとある市民は述べた。ラサの抗議デモはチベット民族が住む周辺の省にも飛び火している。

 一方、英放送局BBCの特派員は、中国西部の山岳部をチベット方面に向かう軍事車両400台以上を目撃したと報じた。同地域一帯での外国メディアの取材を中国政府が規制しているため、特派員は現場の位置は明らかにしなかったが「この2日間、チベットとの境界地帯に向かう部隊の数が増えている。これまでで最大規模の動員だ」と述べた。

 南西部四川(Sichuan)省でも大規模な動員が起こっている。同省に滞在する外国メディア記者がAFPに伝えた。四川省はチベット自治区と隣り合い、また大きなチベット族の居住地区が複数ある。(c)AFP