【3月20日 AFP】新宿の映画館「新宿バルト9」は18日、中国人監督のドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI(Yasukuni)』の上映を取りやめると伝えた。

 同作品を手掛けたのは中国の李纓(Li Ying)監督。1869年に建立され、第二次世界大戦の戦犯も含む250万人の戦没者の霊がまつられている靖国神社を題材にしている。同神社はアジアでは日本の過去の軍国主義の象徴とされている。

 新宿バルト9を含め、都内の4つの映画館が4月12日から上映する予定だった。

 配給元のアルゴ・ピクチャーズ(Argo Pictures)によれば、新宿バルト9を運営するティ・ジョイ(T-Joy)はスケジュールの問題のため上映を中止すると伝えている。そのほかの3つの映画館に関しては予定通り上映する見通し。

 共同通信によれば、話題になっている作品なので問題を起こす可能性があり映画館が入っているビルのテナントに迷惑をかけたくないと、ティ・ジョイ関係者は説明しているという。
 
 同作品には日本政府が助成金を出している。政府は検閲を行わないとしているが、先週には、国会議員を対象とした同作品の試写会が開かれた。こうした試写会は日本では珍しい。

 李監督は、昨年の釜山国際映画祭で、「この作品を作ることで、人々が歴史を見つめ、すべての出来事にはさまざまな立場があるのだということを理解する手助けになればと思う」と語っていた。(c)AFP