【3月11日 AFP】湾岸戦争後に帰還米兵のあいだで見られるようになった体調不良、いわゆる「湾岸戦争症候群」の中には、戦地で暴露した化学物質が原因になったケースが相当存在するという米カリフォルニア大学の調査結果が10日、『米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)』に発表された。

 カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California San DiegoUCSD)医学部のベアトリス・ゴロム(Beatrice Golomb)氏が率いる研究チームは、殺虫剤の使用、神経ガス対策用の錠剤の服用、あるいはサリンなどの化学兵器を保管する武器庫の破壊に従事した場合など、帰還兵が暴露した化学薬品の種類ごとに健康への影響を調査した。「相当数の調査を重ねた結果、化学物質と複合的な慢性体調不良との間には関連があると、かなりの確信をもって言うことができる」と調査を行ったカリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California San DiegoUCSD)医学部のベアトリス・ゴロム(Beatrice Golomb)氏は語る。

 湾岸戦争に従軍した人の26~32%が、記憶障害、不眠症、筋肉・関節痛、倦怠感、ほてり、呼吸障害などの慢性的な症状を訴えている。論文は、これらの症例の原因が化学物質だけとは言えないものの、一部あるいは相当数が化学物質により引き起こされた可能性があると結論づけた。

 さらに、湾岸戦争症候群の原因となったものと同じ化学物質が、一般の人の同様の症状の原因になっている可能性もあるという。米軍では湾岸戦争時に使用していた神経ガス対策用の錠剤の使用を中止したが、農薬や殺虫剤は依然として米国をはじめとする世界各国のオフィスや家庭で用いられている。

 一方、ゴロム氏らは、同じ化学薬品に触れても、発症する人と発症しない人がいる理由は個々人の遺伝子の違いであることを発見した。約25万人の米兵が、神経ガス予防のための錠剤を服用したが、遺伝的にこの薬剤の解毒能力が弱い人は、湾岸戦争症候群を発症するリスクが明らかに高いという。こうした遺伝子変異は、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosisALS)などの神経系疾患との関連も指摘されている。(c)AFP