【3月6日 AFP】インターネット上の3D仮想空間「セカンドライフ(Second Life)」のアバターと呼ばれる仮想住民たちと、現実のブラジル市民たちの生活。この両者に共通点があるとは思えない。しかし、驚くべきことに両者が消費する電力量はほぼ同じなのだ。

「セカンドライフ」の仮想住民が活動を行うのはユーザーがネット接続している時間に限られるため、これは正当な比較とは言えないかもしれない。しかし、それでも仮想世界が環境に影響を与えている事実は数値で示されている。

 では、仮想世界はどのように環境に影響を与えるのだろうか。

■仮想世界も現実世界の電力を消費

 インターネットの使用には電力が必要だ。インターネットの稼働には発電所14か所分のエネルギーが要るという。これに伴う二酸化炭素(CO2)の排出量は、ほぼ航空業界と同量と推計されている。

 これには、パソコンや携帯電話、PDA(携帯情報端末)の生産・輸送過程で排出されるCO2量は含まれていない。これらをリサイクルするためのエネルギーも考慮すると、相当の排出量となる。

■CeBITでも環境がキーワード

 IT関連企業約5500社が参加し、ドイツ中部ハノーバー(Hanover)で4日に開幕した世界最大の情報技術見本市CeBITでも、環境問題が1つのキーワードになっている。

 例えば、米IBMは展示ブースの多くのスペースを割いて、新サーバーの省エネルギー性をアピールしている。セカンドライフ、ひいては全世界のインターネット網を動かしているのは、IBMなどが生産する多数のサーバーなのだ。

■意外に大きい電力消費

 ドイツ・ベルリン(Berlin)の未来技術評価研究所(IZT)の試算によると、毎日、インターネットから新聞をダウンロードする際に消費する電力は、洗濯機を動かす電力と同量だったという。

 また、ドイツのIT企業Stratoによると、インターネット検索エンジンのグーグル(Google)で1つのキーワードを検索する際に消費される電力は、省エネタイプの電球を1時間使用した際の電力に相当するという。

 インターネット使用による電力消費はサーバー上の話なので、個別家庭の電気料金の請求書には反映されない。

■消費量は数年で倍増

 しかし、こうした電力消費量は増加傾向にあるという。米マイクロプロセッサ製造会社AMDと米スタンフォード大学(Stanford University)の合同調査によると、2000年から2004年の間でインターネット関連のエネルギー消費量は倍増したという。

 独ドレスデン大学(Dresden University)のGerhard Fettweis氏は、エネルギー消費の増加速度が現状のまま推移すると、25年後にインターネットが消費する電力は、人類が現在消費している総エネルギーと同量に達すると指摘。「対策がとられなければ、2年以内に何が起きてもおかしくない。インターネットのデータ処理に要するエネルギー消費は倍増する可能性もあるが、真剣に取り組めば現在の消費量から半減する可能性もある」と同氏は語る。

■環境負荷削減めざしあの手この手

 IT業界が環境に与える負荷削減を技術革新によって達成しようとの熱意のもと、CeBITでは各企業の「真剣な取り組み」がアピールされている。

 大量の熱を放出するデータ処理センターは、オーバーヒート防止対策として室内温度を低く保つ必要もある。顧客企業のサーバーを稼働するIBMは、廃熱を回収しエアコンの動力源として室温を下げる方法を模索中だ。

 米マイクロソフト(Microsoft)は、サーバーからの廃熱をデータセンターに隣接する水力発電所に再生可能エネルギーとして供給している。

 このほか、特殊なソフトウエアを用いてサーバーの余った容量で複数のコンピューターを作動させる「サーバーの仮想化」と呼ばれる技術を用いた解決策も提示されている。(c)AFP