【3月3日 AFP】イタリア南部ナポリ(Naples)の美術学生らが、地元マフィア「カモラ(Camorra)」による近年の殺人事件の現場を記した「観光マップ」を作製し、同市のマフィアの激しい抗争が浮き彫りになった。

 この地図を企画した1人、Orazio Manzoさんは前月29日、「われわれの街のマフィア支配を非難することが目的だ」とAFPの取材に答えた。

 折りたたみ式のマップを広げると、2005-2007年の間に発生した「カモラ」の犯行とされる殺人事件約40件の現場、犠牲者の氏名、事件発生日・時刻や死亡時刻が記されている。

 Manzoさんは「ナポリっ子に路上で無料配布するほか観光客にも配布し、ナポリがただ美しい遺跡や建造物の街であるだけでなく、犯罪の中心都市であることにも注意を喚起したい。観光案内所に置こうとも思っているが、持っていってもらえるかどうかは分からない」と語った。

 また、Manzoさんは最近問題となっている20万トンものゴミの路上放置と処理施設の不足も、ナポリの名声を下げるばかりだと付け加えた。ゴミ収集停止問題の少なくとも一部は、ナポリ周辺のゴミ処理場を支配するカモラにやはり原因があると非難されている。

 カモラはイタリア国内で最も所得水準の低い地域のひとつであるナポリおよびその周辺で、市民生活の多くの側面を支配しているとみられる。前年12月のある日曜日には、パン業界に対するカモラの介入と脅迫に抗議するイタリアのパン職人たちが、ナポリの中心広場でパン2万斤を無料配布し問題をアピールした。(c)AFP