【2月28日 AFP】スーダン西部のダルフール(Darfur)地方で続く紛争は26日、解決の見通しも立たないまま発生から6年目を迎えた。スーダン政府は平和維持部隊の全面的な介入を拒み続けており、同地方に対する新たな爆撃も懸念されている。

 事態解決に向けての努力は続けられており、高官協議のため米国のRichard Williamson特使や中国の劉貴今(Liu Giujin)特使が相次いでスーダン入りした。

■紛争の経緯

 この紛争は、2003年2月26日、黒人系住民の経済的・社会的排斥に不満を訴える反政府勢力が、北ダルフール(North Darfur)州の政府軍駐屯地を襲撃したことがきっかけで始まったとされる。これに対し、アラブ系のスーダン政府軍は、同政府の支援を受けているとされる民兵組織ジャンジャウィード(Janjaweed、アラビア語で「馬上の悪魔」の意)とともに、激しい焦土作戦を展開してきた。

 国際機関の統計によると、ダルフール紛争では2003年以降、20万人が死亡し、同地方の人口(約600万)のうち3分の1以上が避難を余儀なくされているという。これに対し、スーダン政府は死者数を9000人と発表している。また、同地方では、約420万人が援助機関が配給する物資に頼った生活を送っている。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、今月8-9日に行われた反政府勢力への激しい爆撃や攻撃で、約1万2000人が隣国のチャド東部に避難したとしている。

■影響力を強める中国政府

 中国政府は、スーダン政府側に反政府勢力掃討のための武器の多くを供給し、同地方での非人道的行為に対しても外交的に目を背けているとして非難を浴びている。

 劉特使は25日、給水施設や学校、医療機器など、8000万元(約12億円)に上る援助計画に調印し、中国政府は、スーダン政府への援助を拡大する用意があると語った。

■遅れる国際社会の対応

 国連(UN)は今週初め、ダルフール地方の住民数千人が新たな爆撃の危険にされされているとして、同地方から避難することを許可するよう求めている。同地方からはすでに推定220万人が避難したとされている。

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は、同地方ではジェノサイド(集団虐殺)が行われていると発言している。

 米政府は、国連とアフリカ連合(African UnionAU)の合同平和維持部隊(UNAMID)の展開が遅れていることに対し、いらだちを示している。UNAMIDは最終的には2万6600人の軍・警察部隊で構成される予定だが、現在、派遣されているのはわずか9200人だけとなっている。

 スーダン政府は、UNAMIDの展開の遅れは、英、仏、米などの責任だと指摘し、欧米諸国からの批判に対して強く反発している。(c)AFP/Jennie Matthew