【2月28日 AFP】インドネシアのMak Erotさんは、あらゆるペニスの悩みを呪術を使って解決する伝説的なペニスドクターだ。自宅のクリニックに敷かれた礼拝用マットには木製の大きなペニス3本が鎮座し、ペニスに問題を抱える男性たちをいざなう。

 「あの老婆(Mak Erotさん)は、実はもう何年も前に死んでいる」と噂されているが、墓の中から今でも魔術を駆使していると、巷ではささやかれている。

 Mak Erotさんが始めたこの商売は活況を呈し、今や国内のタブロイド紙には「彼女の教えを受けた」ことをうたう同業者の広告が所狭しと並ぶ。Mak Erotさんを題材にした現在公開中の映画『Extra Large: Between Me, You and Mak Erot』によって、ペニスドクターはポップカルチャーの領域にまで押し上げられた。

 Mak Erotさんが住むCaringin村は、ジャワ島南西部のインド洋沿岸にある。この地域には、アニミズムとイスラム信仰が混ざり合うスンダ文化が色濃く残っている。

 日刊紙コンパス(Kompas)によると、彼女は自身の「秘伝」を5人の子どもと、16人の孫に伝授したという。もちろん弟子たちは、Mak Erotがまだ生きていると話す。

   「彼女はメダン(Medan)のオフィスがオープンするので、そちらにに出向いている。健康だし、歩くこともできる」と語るのは、Mak Erotさんの孫だというハッジ・バダン(Haji Baban)さんだ。自分が正式な継承者なのだと自己紹介すると、「世界中から、性的不能、早漏といった問題を抱えた男性、ペニスを長く、または大きくしてほしいといった男性たちが、ひきもきらずやって来ます」と話した。

 ドクターのバダンさんは、暗がりの中にあぐらをかき、患者に木製のペニスを持たせて、希望を具体的に示すように言う。患者の説明が終わると、しばしの沈黙のあとでバダンさんは、患者のペニスは「極めて平均的な長さ」との診断を下し、6センチ伸ばすための処方せんを出す。

 この処方せんは、謎めいた調合薬や液体を10日間服用し続けるというもの。患者は苦い果実を口にふくんでどす黒い液体を一気飲みし、ペニスの形をした竹に詰められたココナツライスを一気に流し込む。これを怠ると「ペニスにとんでもないことが起こる」という。

 また、特別な植物油を、毎日「決められた動作で」頭のてっぺんから足の先まで塗布しなければならない。さらにはグリーンバナナやシトロネラ(植物の一種)の摂取も厳禁だ。

 処方せんにもよるが、1日あたりの治療費は70万-100万ルピア(約8000-1万円)になる。大半のインドネシア人にとってこれは高額だが、Caringin村の周りにマンションがどんどん建設されているところを見ると、高額の治療費を払える人はたくさんいるようだ。あるオートバイタクシー・ドライバーは、建設現場を指さして「これらはMak Erotのものなんだ」と語った。(c)AFP/Sebastien Blanc