【2月23日 AFP】「バトラーズ・カフェ(Butlers Cafe)へようこそ、お姫様」。盛装した欧米人男性の「執事」が訪れた女性客の頭にティアラを載せる。

 東京・渋谷にオープンした外国人執事カフェ「バトラーズカフェ」が女性の間で人気だ。

■「非現実の世界」でお姫様気分に

 1歩店内に足を踏み入れると、都会の喧噪を忘れさせてくれる別世界が広がる。ベルを鳴らすだけで、ハンサムな欧米人の執事がやって来て「はい、お姫様」とひざまずく。女性を先に通したり、コートを羽織らせてあげるなど、ちょっとした刺激が女性を喜ばせる。

 カフェでの楽しみは、食事や飲み物だけでない。お気に入りの執事にお姫様だっこをしてもらって写真を撮ったり、英語のレッスンを受けることもできる。

 店のオープンは2006年。常連客は2000人前後に上る。少なくとも月に1度は来店するという保育士の女性(23)は、初めは恥ずかしかったと話す。だが、「執事」が皆キュートで明るく、その上、外国人だから現実を忘れられるのだという。

■安価で安全な、女性のための癒しの環境を実現

 バトラーズカフェの共同経営者は36歳の女性だ。事務職として働いていたころ、仕事一色の世界から逃げ出す方法として執事カフェのアイデアを思いついたという。女性が手軽な料金でほんの1杯のお茶などを飲むことにより、癒しを得られる環境が必要だと気付いたのだ。他の女性たちからも意見を聞いた結果、ロマンチックな設定や、英語を学ぶ機会、ホストクラブなどとは違う安全な環境も求められていることが分かった。

 同経営者によると、日本人女性の多くは、友人、ビジネスウーマン、専業主婦などあらゆる立場で競争意識に押しつぶされているという。この店でティアラをつけ、お姫様として扱われたり、気楽に英語を学んだりすることで、少しでも自分に自信を持ってもらえれば、と語る。
 
 都内で女性に対するカウンセリングを行っている専門家は、現代の女性の多くが子ども時代から満足のいく扱いを受けておらず、無条件に受け入れてもらえることを欲していると指摘する。外国人執事がお姫様として扱ってくれるなら、現実的な人間関係が絡む美容室やスパに行くよりよいのではないかと分析する。

■「レディーファースト」はうそっぽい?

 カフェで働く米国出身の男性(27)は、日本には大きなファンタジー文化があり、日常生活から逃避したいと感じている女性が多いと語る。

 一方、生活総合情報サイト「オールアバウト(All About)」でガイドを務めるニューヨークでの居住経験のある男性は、女性がよい扱いを受けるためにお金を払わなければならないのは非常に残念だと考えている。日本の男性は「レディーファースト」の概念に反対なわけではなく、ただ、欧米人のまねをするのはひけらかしすぎでうそっぽいと感じるのだという。さらに、日本の男性は女性がそうした扱いを求めていないと思いこんでいるため、そこに問題があるのだと指摘している。(c)AFP/Kanako Nakanishi

バトラーズカフェ公式サイト