【2月19日 AFP】西半球では、20日夜から21日明け方にかけて、皆既月食が観測される。

 太陽、地球、月が一直線上に並び、月が地球の影の中に入る時に観測される月食。だが、月が完全に見えなくなるわけではない。影にわずかに入り込む光が大気の影響で屈折し、スペクトル中の赤い光が月面に映るため、地球から見ると月面の色は赤銅色、オレンジ、茶色と刻々と変化する。

 月食は、ひと昔前まで、さまざまな迷信や戦争における「凶兆」と関連づけられてきた。アレキサンダー(Alexander)大王率いるマケドニア軍とダレイオス3世(Darius III)率いるペルシア軍が戦った紀元前331年のガウガメラの戦いでは、決戦の数日前に(月食で)月が血のような赤色になり、ダレイオス3世の敗北が予言されたとされている。

 また、月食は米大陸を発見した探検家クリストファー・コロンブス(Christopher Columbus)の命をも救った。

 1504年、探検中にジャマイカ沖で座礁してジャマイカ島にたどりついたコロンブス一行は、食糧が底をついた上に、住民にも食糧の調達を拒否され、苦境に立たされていた。

 同年2月29日に皆既月食が起こることをドイツの天文暦で知っていたコロンブスは、地元民の首長らを集めてこう告げた。「われわれに協力しないのなら、月を消してくれよう」

 その言葉はもちろん現実になった。恐れおののいた住民たちはコロンブスに、月を元通りにしてくれと懇願。月は、コロンブスのおかげで再び現れ、住民らは一行に食糧を好きなだけ提供したという。一行は、同年6月29日に救助された。

 今回の皆既月食は、ロッキー山脈から東側の北米、中南米、西アフリカ、西欧で観測される。(c)AFP