【2月18日 AFP】シャンパンが英国南部で作られ、ボルドー(Bordeaux)がロワール渓谷(Loire Valley)で生産される――気候変動の影響で、ワイン生産地の世界地図がこんな風に塗り替えられてしまう日が現実になりつつあるという。

 スペインのバルセロナ(Barcelona)で「第2回ワインと気候変動に関する国際会議(Second International Congress on Wine and Climate Change)」が15日から2日間の日程で開催され、フランス、スペイン、米国、ニュージーランド、オーストラリアなど36か国の専門家350人が参加、気候変動がワイン産業に与える影響について話し合った。

■ワイン生産地の世界地図に大変化?

 会議の中で、大半の地域で生産されるワインの種類は変わり、理想的な気候により世界的に有名なワインを生産している地域の中にも、その恩恵を受けられなくなる地域もあるとの意見も出された。

 会議を主宰したスペインワインアカデミー(Wine Academy of Spain)のPancho Campos代表は地元紙のエル・ペリオディコ(El Periodico)に対し、「(気候変動の影響で)フランスは問題を抱えることになるだろう。(英国南部の)サセックス(Sussex)やケント(Kent)に土地を購入したフランスのシャンパン製造業者もいる」と語っている。一方、影響が最も少ないのはドイツのライン川流域だという。

 オーストラリア、カリフォルニア、チリ、アルゼンチン、南アフリカ、ニュージーランドなどの「新世界」がワイン生産に最も適した気候となることで、ボルドーのグラン・クリュ(Grand crus、最上級格付けワイン)が一層の打撃を受ける恐れもあるという。

「ほとんどのワイン生産地で、ブドウの収穫が以前より10日は早まっている。2-3度の気温上昇ならボルドー、リオハ(Rioja)、ブルゴーニュ(Burgundy)は何とか現在の地域での生産が続けられるが、5-6度上昇するとワイン業界は大打撃を受けることになる」とフランス国立農業研究所(INRA)のBernard Seguin所長は予測する。

■気候変動の影響でワインの品質も低下

 気候変動によるワインの品質への影響も、すでに現れ始めている。

 スペインのタラゴナ大学(University of Tarragona)醸造学部の教員フェルナンド・サマラ(Fernando Zamora)氏は「(高温と渇水の影響で)ブドウが早熟になると、糖分が高く、酸度が低く、pHレベルが高くなる。その結果、ワインのアルコール濃度が高くなり微妙な風味が損なわれ、品質が低下する」と指摘。アルコール濃度によって酒税が規定されている国では、価格上昇にもつながるという。(c)AFP/Marcelo Aparicio