【2月13日 AFP】お金を稼ぐのに忙しくて愛を営む時間もないと嘆く独身者が多いシンガポールではバレンタインデーの14日、同国政府がロマンスや結婚を促進する「ロマンシング・シンガポール(Romancing Singapore)」キャンペーンを強化する予定。出生率の低さが国の存続を脅かすとの懸念から、間近に迫ったバレンタインデーに便乗して、政府が恋のキューピッド役を買って出る形となる。

 2002年に立ち上げられ、2005年以降は民間企業によって運営されてきた同キャンペーンでは、出生率低下を食い止めるためにさまざまなイベントが企画されている。さらに、政府が直接出資するロマンス促進のための取り組みもある。

 ロマンシング・シンガポールのマネジャー、Andrew Chow氏は「多くの国では自然に任せるのだろうが、シンガポールのような仕事状況やライフスタイルでは、あまり時間がとれない」と嘆く。「デートすることこそがライフスタイルなのだと、独身者を教育しようとしている。シンガポールのようなことをしている国はほかにない」

 ロマンシング・シンガポール主催の数あるイベントの中には、オープンしたての世界最大の観覧車、シンガポール・フライヤー(Singapore Flyer)でのバレンタインデー当日夜のデートをお膳立てするものから、映画のはしご、金曜夜のショッピングなどがあり、これまでの参加者は5000人を超えた。

 Chow氏は、「恋にはお金がかかる」と語る。シンガポール・フライヤーに豪華な食事と温泉リゾート利用を含めると、代金は140ドル(約1万5000円)にも上る。定員の24組は予約でいっぱいだ。

 交際相手紹介所「ランチ・アクチュアリー(Lunch Actually)」の共同設立者、Violet Lim氏も、シンガポールの目まぐるしいライフスタイルの中で交際相手を見つけるのは難しいと指摘する。「だから、きっかけ作りの役目を果たしている。紹介所に来る多くの人たちは自分で相手を探せないというよりむしろ、忙しいスケジュールのためにできないのだ」

 政府は2006年、100万シンガポールドル(約7600万円)を投じて独身者のための交際相手紹介所を支援する「Partner Connection Fund」を設立した。

ウェブを通じて出会いの機会を提供するランチ・アクチュアリー社の子会社Eteract.comも、同基金から助成を受けている。

 2004、2005年のシンガポールの女性1人当たりの出生率は1.24人と、人口維持に必要な2.1人を大きく下回る歴史的な低水準を記録した。このような事態を受け、政府は子どもに対する助成を手厚くしたり、外国人に市民権取得を促したり、それまではタブー視されていたセックスなどの問題に対して寛容になるなどの変化を見せている。

 リー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相は旧正月の大みそかに「何とか出生率の低下を食い止めているが、ほんのわずかだ」とのコメントを発表。同首相は、奨励金の問題だけではなく、「社会的態度」などの要素もあると指摘する。

 公式統計によると、2007年のシンガポールの人口は458万8600人だったが、うち約100万人は住民登録をしていない外国人だった。(c)AFP/Bernice Han