【2月12日 AFP】東ティモールの首都ディリ(Dili)で11日早朝、反政府武装グループの襲撃を受け、銃撃による重傷を負った、同国のジョゼ・ラモス・ホルタ(Jose Ramos-Horta)大統領(58)は同日、同地のオーストラリア軍病院で手術を受けた後、緊急治療のためオーストラリア・ダーウィン(Darwin)の病院に移送された。自身の自宅も襲撃を受けたが無事だったシャナナ・グスマン(Xanana Gusmao)首相が明らかにした。同大統領の容体は安定しているという。

 同首相によると、大統領と首相を襲撃したのは、反政府武装組織の指導者アルフレド・レイナード(Alfredo Reinado)少佐が率いるグループで、レイナード少佐は大統領の襲撃現場で警護部隊らとの銃撃戦の末、死亡したという。

■大統領は「重傷だが、容体は安定」

 ホルタ大統領は、胸と腹部に2、3発の銃弾を受けているという。病院関係者はAFPに対し、容体は安定しているが重傷だとして、「今後24時間から48時間が正念場だろう」と語った。また、ポルトガル・リスボン(Lisbon)を訪問中の、Fernando de Araujo国会議長も、「大統領は回復に向かっており、危険な状態は脱した」としている。

■非常事態宣言と夜間外出禁止令の発令

 事態を受けて、グスマン首相は、同国全土に48時間の非常事態を宣言し、午後8時(日本時間同)に夜間外出禁止令を発令した。非常事態宣言に関しては、大統領代理である、議会の第1副議長の正式な承認をまだ受けていないが、夜間外出禁止令はすでに実行されている模様だ。

■オーストラリア政府は警察と軍の部隊を増派

 オーストラリアのケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相は、情勢安定化のために、現在東ティモールで活動している800人の警察や軍の部隊に対し、「十分な数の」部隊を増派すると発表した。東ティモール国内には、2006年の暴動以来、国連(UN)の平和維持活動(PKO)部隊1700人やオーストラリア軍部隊などが治安維持活動のため展開している。(c)AFP/Nelson da Cruz