豪先住民「盗まれた世代」、政府謝罪を機に新しい人生に踏み出す
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【2月11日 AFP】オーストラリアで1910-1970年まで先住民アボリジニの子どもたちを親元から強制的に引き離し、施設に収容するなどした隔離政策が過ちだったとして、ケビン・ラッド(Kevin Rudd)首相が13日の議会で正式に謝罪する。
■同化政策で生まれた「盗まれた世代」
豪政府は当時、アボリジニに対する白人社会への同化政策の一環として、特に白人とアボリジニの間に生まれた児童を中心に、アボリジニの子どもたちを強制的に親元から引き離し、施設に収容したり、白人家庭の養子にしたりした。こうした子どもたちは数万人に上り、「ストールン・ジェネレーション(盗まれた世代)」と呼ばれる。
シドニー(Sydney)西郊のペンリス(Penrith)に暮らすメアリー・フーカー(Mary Hooker)さん(50)は、この「盗まれた世代」のひとり。12歳のときにアボリジニの両親から引き離され、施設に収容された。13日の首相謝罪は、娘と2人の孫を連れて議会に聞きに行くつもりだ。
フーカーさんは18歳までの6年間、女子だけの養護施設で両親とも兄弟姉妹とも隔てられたまま暮らした。その間、男性の監督官から繰り返し暴力や性的暴行を受けたという。悲惨な体験だが、フーカーさんは「盗まれた世代」の多くが子ども時代に自分と同じように辛い境遇を堪え忍んだと考えている。
■首相の謝罪は「新しい旅の始まり」
ラッド首相の謝罪は自分にとって「新しい旅の始まりになるだろう」とフーカーさんは話す。また「盗まれた世代」にとって、辛い過去が癒されるきっかけになると考えている。
フーカーさんはアボリジニ出身ではない男性と結婚して22年になるが、施設にいた6年間に自分が虐待を受けた責任は国にあるとして豪政府を訴えた。
しかし、フーカーさんが子ども時代に受けた傷は消えることはない。フーカーさんの父親は子どもたちとの接触を試みたが、再会を果たせないまま亡くなった。母親は健在で近くに暮らしているが、兄弟姉妹の一部とは連絡が取れない。「体験を話して大丈夫なときもある。すぐに涙が出るときもある」と泣きながら、フーカーさんは訴えた。
フーカーさんは消息の分からない兄弟姉妹を見つけたいと願っている。なかには数十年間、会えないままの兄弟姉妹もいるが、首相が謝罪する議会の場で再会できるのではないかと期待している。
支援団体「ストールン・ジェネレーション・アライアンス(Stolen Generations Alliance)」の推計では「盗まれた世代」は豪州全体で5万5000人。子どもの強制隔離をジェノサイド行為だとした1997年の豪政府「人権・機会均等委員会(Human Rights and Equal Opportunity Commission、HREOC)」の報告書は、先住民の子どもの3人に1人が隔離されたとしている。
HREOCの委員で自身、アボリジニ出身であるTom Calma氏は、隔離政策は混血の子どもたちを白人社会に同化させ、先住民の血統を絶やすことを目的としたものだったと語る。隔離された子どもたちは、アボリジニの言語も文化も知らないばかりか、自分の出自が先住民であることすら知らない場合もある。(c)AFP/Madeleine Coorey
■同化政策で生まれた「盗まれた世代」
豪政府は当時、アボリジニに対する白人社会への同化政策の一環として、特に白人とアボリジニの間に生まれた児童を中心に、アボリジニの子どもたちを強制的に親元から引き離し、施設に収容したり、白人家庭の養子にしたりした。こうした子どもたちは数万人に上り、「ストールン・ジェネレーション(盗まれた世代)」と呼ばれる。
シドニー(Sydney)西郊のペンリス(Penrith)に暮らすメアリー・フーカー(Mary Hooker)さん(50)は、この「盗まれた世代」のひとり。12歳のときにアボリジニの両親から引き離され、施設に収容された。13日の首相謝罪は、娘と2人の孫を連れて議会に聞きに行くつもりだ。
フーカーさんは18歳までの6年間、女子だけの養護施設で両親とも兄弟姉妹とも隔てられたまま暮らした。その間、男性の監督官から繰り返し暴力や性的暴行を受けたという。悲惨な体験だが、フーカーさんは「盗まれた世代」の多くが子ども時代に自分と同じように辛い境遇を堪え忍んだと考えている。
■首相の謝罪は「新しい旅の始まり」
ラッド首相の謝罪は自分にとって「新しい旅の始まりになるだろう」とフーカーさんは話す。また「盗まれた世代」にとって、辛い過去が癒されるきっかけになると考えている。
フーカーさんはアボリジニ出身ではない男性と結婚して22年になるが、施設にいた6年間に自分が虐待を受けた責任は国にあるとして豪政府を訴えた。
しかし、フーカーさんが子ども時代に受けた傷は消えることはない。フーカーさんの父親は子どもたちとの接触を試みたが、再会を果たせないまま亡くなった。母親は健在で近くに暮らしているが、兄弟姉妹の一部とは連絡が取れない。「体験を話して大丈夫なときもある。すぐに涙が出るときもある」と泣きながら、フーカーさんは訴えた。
フーカーさんは消息の分からない兄弟姉妹を見つけたいと願っている。なかには数十年間、会えないままの兄弟姉妹もいるが、首相が謝罪する議会の場で再会できるのではないかと期待している。
支援団体「ストールン・ジェネレーション・アライアンス(Stolen Generations Alliance)」の推計では「盗まれた世代」は豪州全体で5万5000人。子どもの強制隔離をジェノサイド行為だとした1997年の豪政府「人権・機会均等委員会(Human Rights and Equal Opportunity Commission、HREOC)」の報告書は、先住民の子どもの3人に1人が隔離されたとしている。
HREOCの委員で自身、アボリジニ出身であるTom Calma氏は、隔離政策は混血の子どもたちを白人社会に同化させ、先住民の血統を絶やすことを目的としたものだったと語る。隔離された子どもたちは、アボリジニの言語も文化も知らないばかりか、自分の出自が先住民であることすら知らない場合もある。(c)AFP/Madeleine Coorey