【2月2日 AFP】(写真追加)ニュージーランドと日本の研究者らが、タマネギに含まれる、涙の分泌を促す酵素の背後にある遺伝子の働きを阻害する方法で、「涙の出ないタマネギ」の開発に成功した。研究チームが1日明らかにした。

 この研究により、「どうしてタマネギを切ると涙が出るの?」という料理界の永遠の謎が解けるかもしれない。

 研究を主導したのはニュージーランドの研究機関クロップ・アンド・フード・リサーチ(Crop & Food Research)。「遺伝子抑制」と呼ばれる技術を使い、「涙の出ないタマネギ」の試作品を作った。

 コリン・イーディ(Colin Eady)上級研究員によれば、プロジェクトは日本人科学者が涙液分泌を促す酵素を特定したのをきっかけに2002年に開始した。

 イーディ氏はAFPのインタビューに応じ、次のように語った。

「当初、涙を分泌させる成分はタマネギを切ったときに自然に発生するものと考えていました。ところが日本人科学者の研究により、ある酵素が関係していることが分かったのです。この発見を元にわれわれは、オーストラリアの科学者が開発した遺伝子抑制と呼ばれる技術を用い、タマネギにDNAを導入しました。これにより、タマネギの涙液分泌を促す遺伝子の働きを抑制し、問題の酵素が発生しないようにすることができます。こうして作られたタマネギなら、切ったときに涙が出ないわけです」

 さらにイーディ氏は、この過程でタマネギに含まれる硫黄化合物を風味や栄養を増す物質に変化させることができれば、タマネギの価値をいっそう高めることができるかもしれないと語った。

 今回の発見は、オランダで行われた国際シンポジウムで発表されたほか、業界誌「オニオン・ワールド(Onion World)」の2007年12月号の巻頭を飾っており、世界的に大きな話題となっている。
 
 クロップ・アンド・フード・リサーチでは現在、複数のタマネギ畑でこのタマネギを育てている。ついに世界中の家庭で「涙の出ないタマネギ」が食べられるようになるのかとの期待が寄せられているが、イーディ氏はそれはまだ10-15年先の話だろうと語った。(c)AFP