【2月1日 AFP】1日に開幕するブラジル名物、リオのカーニバル。その舞台裏ではセックスと警備をめぐる議論が白熱している。

 リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で開かれる「世界最大の公共パーティー」とも言われるカーニバルには、21万人の外国人観光客を含め70万人以上が訪れるとみられている。裸同然の女性たちが踊り、にぎやかな打楽器隊が通りをパレードするカーニバルのハイライトは、サンバ・チームがパレードする2日と3日の夜。レシフェ(Recife)やサルバドル(Salvador)のほか、全国各地で行われる小規模なパレードも合わせると、国民1億9000万人のほとんどが街に繰り出すことになりそうだ。

■コンドーム1950万個を無料配布

 カーニバルでは、汗ばんだ肉体のぶつかり合いと幻想的なムードがあいまって、みだらな行為が起こることも当然想定される。当局は今年、そのような行為の取り締まりに乗り出している。

 ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)大統領は「責任を持って」パーティーを楽しみ、「常軌を逸した楽しみ方」をしないよう国民に呼び掛けた。

 大統領の呼び掛けを受けて政府は、路上での酒類販売を禁止したほか、1950万個のコンドームを無料で配布してカーニバル期間中の安全なセックスを推奨している。

 ブラジルの昨年1年間のコンドーム購入個数は10億個に上る。これについて保健省では、性感染症予防対策に真剣に取り組んでいるあらわれだとしている。

 とはいえ、カーニバル期間中に女性に緊急避妊薬を配布するとしていたレシフェ市では、地元のカトリック教会が「性交渉を助長する」「中絶に等しい行為」として配布中止を求め、裁判沙汰にまで発展している。

■憲兵賃上げ問題がカーニバルの警備に影響

 もうひとつの懸念事項がカーニバル中の警備だ。警備を担当する憲兵と州政府との間で問題が持ち上がっており、これが祭典にも影響しているのである。ブラジルでは先だって、賃上げ交渉デモを許可した憲兵トップを含む10人の高官を政府が解雇。これに抗議して、47人の憲兵が辞職した。双方とも警備に影響はないと主張しているものの、事態が迅速に解決する兆しは見られず、こうちゃく状態に陥っている。

 渦中にある治安当局のホセ・マリアーノ・ベルトラーメ(Jose Mariano Beltrame)氏はAFPに対し、「心配無用。リオはこれまでも問題なくカーニバルを行ってきた」と語っている。

■それでもやっぱりカーニバル

 舞台裏で起きているこうした問題は、カーニバルを訪れる大半の外国人観光客には入らない。しかしリオデジャネイロのコパカバーナ(Copacabana)海岸で働くカナダ人男性は、カーニバルを押さえつける政府の取り組みに「最低だ。毎年規制が厳しくなる」と苦い顔をしてみせた。

 それでも、「熱気、女性、食べ物、海岸」といったリオの夏の光景の前には、冬に氷点下41度にも達する故郷カナダなど目ではないそうだ。(c)AFP/Marc Burleigh