【1月29日 AFP】大統領選挙をめぐる対立に端を発する民族衝突で多数の死者が出ているアフリカのケニアで29日未明、野党の国会議員が首都ナイロビ(Nairobi)の自宅の外で撃たれ死亡した。警察関係者が明らかにしたもので、昨年末の大統領選結果をめぐる与野党対立に関係があるとみられる。

 警察幹部によると、死亡したのは落選したライラ・オディンガ(Raila Odinga)候補率いる野党オレンジ民主運動(Orange Democratic MovementODM)所属のナイロビ・Embakasai地区選出のムガベ・ウェレ(Mugabe Were)議員で、29日未明に自宅の外で何者かに撃たれたという。同議員の自宅警備員は、銃で武装した2人組による犯行で、現時間29日深夜0時30分(日本時間午後6時半)ごろ、門の外から銃声が聞こえたと語った。

 事件をきっかけに29日、一連の衝突ですでに動揺が広がっているケニア各地に新たな騒乱が発生した。オレンジ民主運動が地盤とする同国西部とウェレ議員の地元ナイロビの貧困街では、数百人が街頭に繰り出し議員殺害に対する抗議行動を展開、警察は解散させるため催涙ガスを使用した。

 事件を受け、オレンジ民主運動は支持者らに対して平静と自制を求めている。

 混乱が続くなか、前週ケニアに滞在していたコフィ・アナン(Kofi Annan)前国連(UN)事務総長率いる仲介チームは、ムワイ・キバキ(Mwai Kibaki)大統領とオディンガ氏との公式対談をナイロビで同日、現地時間午後4時(日本時間午後10時)から開始すると発表した。

 野党オレンジ民主運動(Orange Democratic MovementODM)オディンガ党首は同日、議員の事件に政敵が関与しているのではないかと疑問を呈している。(c)AFP