【1月25日 AFP】米国の低所得者向け住宅融資(サブプライムローン)の焦げ付き問題に巻き込まれ住宅を手放した人々がペットを見捨てている実態が明らかになり全米に衝撃を与えている。

 ここ数か月、全米各地のペット保護センターにはサブプライム問題の影響で家を手放さざるをえなくなり、ペットを引き渡しに来る人々が急増している。しかし、これらはまだましな例だ。空き家となった住宅内に置き去りにされたペットたちが、近隣住民や警察、不動産屋らによって発見される事例も増えている。

 福祉団体「全米人道協会(Human Society of the United States)」のステファニー・シェイン(Stephanie Shain)さんの話では、捨てられたペットの多くが飢餓状態にあったという。

 ペットを道路脇に置き去りにしていく飼い主もいれば、ひどい場合には、鳴き声が近所に聞こえないようにペットを洋服棚のなかに閉じこめて家を出て行く飼い主もいるという。

 放置されてから数週間以内に発見されたペットは餓死を免れるが、不幸にも餓死したペットが発見された家屋からは、必死で脱出を試みたとみられるペットの爪痕が屋内の窓やドアのあちこちに残されているという。

 これまでに空き家に放置されたり保護センターに預けられた動物たちがどれほどの数に上るのか、全国的な統計はない。
 
 シェインさんは、サブプライム問題の最大の被害者は、見捨てられたペットたちだと指摘する。シンシナティ(Cincinnati)で前年5月、抵当入り住宅から60匹以上のネコが発見された事例も衝撃的だった。このうち20匹はいまだに動物愛護団体によって保護され、新しい飼い主を待っている。

 こうした事態をうけ、人道協会はペットを飼い続けることが困難になった人々に対し、ペットと暮らせる賃貸住宅を探すことや、やむを得ない場合には保護センターにペットを預けるよう呼び掛けるキャンペーンを開始した。

 前年1月から11月の間に、「サブプライムローン」問題でローン返済が困難となり自宅を手放した世帯は全米で約200万世帯に上る。(c)AFP/Mira Oberman