【1月24日 AFP】配偶者と適度にけんかするのは、健康に良い影響を与える可能性があることが、米研究チームの調査により明らかになった。怒りを抑圧した夫婦の死亡率は、少なくとも一方が感情を表現した夫婦の2倍にも上るという。

 調査を行ったのは米ミシガン大学(University of Michigan)のErnest Harburg名誉教授率いる研究チーム。調査は、ミシガン州の中産階級の白人が大多数を占める町で、192組の米国人夫婦を対象に行われた。対象となった女性の大半は、性革命が起こる前に生まれた主婦。

 既往の研究では、怒りを抑圧すると心臓病や高血圧など、ストレスに関連した病気にかかりやすくなることが示されている。今回の調査では、結婚生活において抑圧された怒りとその結果として形づくられた不快感が、死亡率に与える影響について追究された。年齢、喫煙、体重、血圧、気管支障害、呼吸、心血管系リスクなどを考慮に入れ調整されている。

 研究チームは1971年に、配偶者が相手の不公平と思われる態度に対してどう反応するか、聞き取り調査を実施した。夫婦ともに怒りを抑圧していたのは26組で、少なくとも一方が感情を表現していたのは166組だった。

 チームはその後1988年まで17年にわたり夫婦の生存を調査した。その結果、ともに怒りを抑圧していた夫婦の半数は、少なくとも夫婦のどちらかが死亡していたことが分かった。一方、少なくとも一方が感情を表現していた夫婦については、どちらかが死亡した割合は26%にとどまった。さらに、夫婦ともに死亡した確率については、感情を抑圧していた夫婦がそうでない夫婦の5倍近くに達することが分かった。
 
「結婚生活で重要なことの1つは、けんかをした後の仲直りだ。けんかを解決せずに、怒りを押さえつけてくよくよ考えたり相手を恨んだりすると、トラブルに陥る」とHarburg名誉教授は語る。

 また同教授は、この研究結果は初期段階のものであり、また夫婦関係についての最新のデータは反映されていないとして、「30年後の生存率を分析すればより信頼できる結果が得られる」と指摘している。

 研究成果はJournal of Family Communication1月号に掲載される。(c)AFP