【1月23日 AFP】(一部更新)国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)の親善大使としてシエラレオネを訪問していた英国のサッカー選手、デビッド・ベッカム(David Beckham)氏が22日、ロンドン(London)で講演し、発展途上国の子どもたちの異常に高い致死率について「現実から目を背けないでほしい」と訴えた。

 ベッカム氏は今回の訪問で問題の緊急性を痛感したという。

「発展途上国では毎日数万人の子どもが予防可能な原因で死んでいく。シエラレオネでは4人に1人が5歳未満で亡くなっている。予防策は簡単なのに、こうした現実があることは衝撃だし悲劇だと思う」

 はしかにはワクチン、マラリア予防には蚊帳の使用といった簡単な予防策で致死率は低く抑えられる。

 ベッカム氏は「子どもたちの命を守ることはユニセフの最優先課題。親善大使として、この問題への世界の関心を高めていきたい」と熱く語った。

■シエラレオネの子どもの致死率は世界最悪

 ベッカム氏は18日に首都フリータウン(Freetown)入りした後、北部のマケニ(Makeni)を訪問。複数のマラリア治療センターを視察した。

 マンチェスターユナイテッド(Manchester United)から移籍後、現在は米ロサンゼルス・ギャラクシー(Los Angeles Galaxy)で活躍するベッカム氏。セキュリティー上の理由から今回の訪問は公表されていなかった。

 22日にユニセフが発表した2008年世界子供白書(The State of the World's ChildrenSOWC)によると、シエラレオネの5歳未満の死亡率は27%と世界最悪。マラリアにより5歳未満で死亡する子どもの数は、サハラ以南全体では毎年80万人にのぼるという。

 1991-2003年の内戦で疲弊したシエラレオネでは、国民の大半が1日1ドル以下の生活を強いられている。(c)AFP