【1月21日 AFP】ドイツの歴史家、グイド・クノップ(Guido Knopp)氏が、20日のBild紙で、米俳優トム・クルーズ(Tom Cruise)さんの演説をナチスの宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルス(Joseph Goebbels)が戦争を呼びかけた演説に似ていると語った。

 第2次世界大戦史を専門とするクノップ氏は、クルーズさんが4年前、サイエントロジー教会(Church of Scientology)の会員に向かって行った演説の映像を見たという。クルーズさんはこの中で、「我々はこの場所を正すべきか?」と会員に尋ねており、これを見たクノップ氏が、ゲッペルスが1943年2月18日に行った「総力戦」を呼びかける演説を思い出させると語った。

「クルーズさんの演説の手法は、米国の多くの権力者の間では一般的なのかもしれない。しかし、クルーズさんがサイエントロジー教会の会員に世界を正すべきかと尋ね、会員全員が『そうだ』と答える場面は、すべてのドイツ国民にゲッペルスの悪名高き演説を思い出させるだろう」

 クルーズさんは、1944年のヒトラー(Adolf Hitler)暗殺未遂事件を描いた映画『Valkyrie』で、暗殺計画の首謀者だったクラウス・フォン・シュタウフェンベルク(Claus Schenk von Stauffenberg)大佐を演じているが、クルーズさんがサイエントロジー教会の信者であるため、不快感を抱いているドイツ国民もいる。ドイツでは、同教団は信者を搾取していると見られ、同教団を禁止する動きが出ている。

 同作品は2008年後半に公開を控えている。(c)AFP