【1月17日 AFP】野党・オレンジ民主運動(Orange Democratic MovementODM)のライラ・オディンガ(Raila Odinga)党首がムワイ・キバキ(Mwai Kibaki)大統領の再選に対する抗議デモの実施を呼び掛けたケニアで16日、デモ隊を解散させようとした警官隊の発砲などにより2人が死亡、多数の負傷者が出ている。

 最も多くの犠牲者が出たのはODMの本拠地キスム(Kisumu)。現地ではオディンガ党首の支持者と警官隊が衝突した。警察署長によると、集まっていた約1000人の若者を解散させようとした警官隊が発砲し、男性1人が背中を撃たれて死亡した。また負傷して病院に運ばれた別の男性も銃撃が元で死亡、1人が重傷を負ったほか、数人の負傷者が出た。

 首都ナイロビ(Nairobi)最大のキベラ(Kibera)スラムでは警官隊による発砲でODM支持者3人が負傷。中心部の商業地では、警察が拡声器で退去命令を出し、デモ参加者とみられる人々を殴打したり、催涙弾を使用して集まった人々を解散させたりしている。

 ナイロビ中心部にあるホテル前では警官隊が催涙弾を発射。ODM幹部らはホテル内への避難を余儀なくされた。

 前年12月30日のキバキ大統領の再選後最も激しい暴動が発生した西部エルドレット(Eldoret)では、4000人を超えるデモ隊が警官隊と衝突。デモ参加者6人が軽傷を負った。

 警官隊は数度にわたりデモ行進を解散させたが、デモ隊は「ライラ氏なしでは平和はない。キバキ氏は辞任を」などと叫びながら行進を続けた。「キバキ氏は安らかに眠る、棺桶の中で、生き埋めとなって」などと書かれたプラカードもあった。

 ナクル(Nakuru)やモンバサ(Mombasa)などでは警官隊が催涙弾でデモ隊を制圧。全国各地の抗議活動は阻止された。

 17日にも同様の抗議活動が予定されているが、ほとんどの都市では人通りがなく、デモ発生以来続いている経済危機の深まりが懸念される。

 前年12月のキバキ大統領の再選後、暴動や警官隊による鎮圧、民族間抗争などによる犠牲者は700人を超えたという。(c)AFP/Jean-Marc Mojon