【1月16日 AFP】米俳優トム・クルーズ(Tom Cruise)さんらが信者であることで知られる宗教団体サイエントロジー教会(Church of Scientology)は15日、クルーズさんについて書かれた暴露本の中で言及されている同教会の記述内容について、「中傷的で虚偽に満ちたもの」と激しく非難する声明を出した。

■「悪意ある扇情主義の本」と非難

 『Tom Cruise: An Unauthorized Biography(トム・クルーズ:非公認の伝記)』と題されたこの本は、『ダイアナ妃の真実(Diana: Her True Story)』などの暴露本を執筆したアンドリュー・モートン(Andrew Morton)氏によるもの。クルーズさんに無断で出版されたが、クルーズさんから同書に関するコメントは出ていない。

 一方、この本の「真の主役」といえるサイエントロジー教会は、同書を「虚偽とスキャンダラスな主張に満ちた最低次元の悪意ある扇情主義」と批判する長文の声明を発表。同書に書かれた極めてセンセーショナルな内容のいくつかを否定した。

 さらに、「モートン氏が教会側が提案したインタービューや情報提供を拒否し、教会に反論の機会を与えなかった」として、「彼にとって正確さと真実は問題ではなかったのだ」とコメントしている。

■クルーズの子どもは教会創設者の生まれ変わり?
 
  同書では全編にわたって、クルーズさんが計算高く支配欲の強い人物として描かれている。

 クルーズさんは同性愛者で生殖能力がないと報じるメディアに対して、長年にわたり裁判を起こしているが、同書ではその詳細も述べられている。また前妻ニコール・キッドマン(Nicole Kidman)さんがサイエントロジー教会を「結婚の妨げになっていた」と見ていたとの記述もある。

 これに対し教会側は、「クルーズ氏の結婚や恋愛において教会が果たした役割に関するすべての主張は事実上間違いであり、タブロイド紙の中傷的な報道と変わりはしない」と主張。さらに、「クルーズ氏がまるで、教会の副司令官の立場であるかのようにほのめかしているが、これは事実無根でばかげているとしか言いようがない」と述べている。

 さらに同書には、「現在のクルーズさんの妻、ケイティ・ホームズ(Katie Holmes)さんが産んだ子どもは、サイエントロジー教会の創設者、故L・ロン・ハバード(L. Ron Hubbard)氏の魂を受け継いだ子どもだ」という、極めて奇抜な見解も記されている。

 これに対し教会は次のように反論している。「当教会は、ハバード氏の生まれ変わり、または子孫だという子どもが生まれたなどと、考えたこともない。ケイティがハバード氏の凍結保存した精子で妊娠したとでも言うのか? そのようなことを言わねばならないとは不快だ。ハバード氏の精子が凍結保存されたことは一度もない」

■話題騒然で売れ行きは好調

 この本が提訴される可能性は高いとされており、サイエントロジー教会は、同書の米出版元St Martin's Pressに対して法的手段を取ると報じられている。

 教会の非難声明で話題になった結果、同書は好調な売れ行きを見せ、15日のインターネット通販大手、米アマゾン(Amazon)の売れ行きランキングで9位に入っている。

 モートン氏はこれまでに、マドンナ(Madonna)、デビッド・ベッカム(David Beckham)、ヴィクトリア・ベッカム(Victoria Beckham)などの暴露本も手掛けている。(c)AFP/James Hossack