【1月15日 AFP】父親の生前に体外受精を行い、死後にこの受精卵を子宮に戻して生まれた子どもが父親の財産を相続できるかをめぐる裁判で、アーカンソー(Arkansas)州の最高裁は10日、相続権はないとの審判をくだした。

 訴えていたのは、冷凍受精卵を使って夫の死から約20か月後に男の子を出産したアミー・フィンリー(Amy Finley)さん。フィンリーさんは、州が「父親の死後に妊娠した」との理由で幼児保険の給付を断ったのは不当と訴えていたが、同最高裁は、子どもは遺伝子学的には亡くなった夫の息子であっても、アミーさんは夫の生前の収入に基づいた幼児保険の給付を受けることはできないとの判断を下した。

 裁判で争点となったのは、「受精卵が発生した日」と「受精卵を子宮に戻した日」のいずれを「妊娠した日」とするかという点だった。フィンリーさんは前者を主張したが、裁判所は「妊娠」の定義に対する判断は避けつつ「州法にはフィンリーさんの主張の根拠となる規定がなく、相続法にも体外受精に関する規定がない」として、訴えを退けた。

 その一方で裁判所は、フィンリーさんのような不妊対処法を想定した相続法の整備が必要との見解を示した。

 子どもが産まれる前、地方裁判所は法的に「夫妻の子どもと認められる」との判断を下していた。だが、子どもが産まれたあとで幼児保険を申請したところ、アーカンソー州の社会福祉課に却下されたという。(c)AFP