【1月9日 AFP】環境保護5団体は8日、アジアの大手製紙会社による違法開墾で、インドネシアのスマトラ島(Sumatra Island)に生息する希少種のゾウ、トラ、オランウータンが絶滅の危機にさらされていると発表した。

 5団体の共同報告によると、アジアパルプアンドペーパー(Asia Pulp and PaperAPP)とその関連会社は、ジャンビ(Jambi)州のBukit Tigapuluh地域で、利権のない土地を開墾してアクセス道路を整備したという。

 5団体の1つ、世界自然保護基金(World Wildlife Fund for NatureWWF)の調査により、この地域がトラ、ゾウ、オランウータンにとって非常に重要な生息地であることが判明している。

 Bukit Tigapuluh地域は近接するリアウ州(Riau province)のテッソニロ(Tesso Nilo)森林地域と並んでスマトラゾウが生存できる唯一の生息地。危険にさらされているのは、テッソニロも同様だという。

 2007年11月の衛星写真により、2万ヘクタールの土地がAPPと関連会社により違法開墾されていることが証明された。WWFによると、一部の地域は政府による競売過程にあり、まだ正式には開墾が許可されていない。さらにAPPが重要な分水地点に植林しているのも、違法行為だという。

 5団体は、APPが一時的に開墾を休止し、Bukit Tigapuluh地域における環境影響調査を実施するよう求めている。

 APPと関連会社はすでに、リアウ州での違法伐採の容疑で警察当局の捜査を受けており、捜査中は同州での開墾が一時中止となる。

 APPの広報担当は、「APPはBukit Tigapuluh地域での違法伐採に関与していない」と主張し、さらに関連会社の行動の詳細について把握する時間はなかったと説明している。
 
 インドネシアは、パーム油、パルプ、紙生産ための開墾が一因で世界3位の二酸化炭素排出国なっているが、さらに違法伐採が増えていることで、環境保護活動団体は警戒を強めている。

 同国では違法伐採が横行しているが、法的混乱と機構の弱体化により、違反者が責任を問われることはほとんどない。(c)AFP