【1月9日 AFP】ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領の中東歴訪を9日に控え、訪問先の中東各地では同大統領訪問による成果を疑問視する声があがっている。

 ブッシュ大統領は9日から、イスラエルを皮切りにパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)、エジプト、湾岸産油国を歴訪する。

 中東訪問に際し、同大統領は、前年11月に米国で行われた中東和平国際会議でようやく再開にこぎつけた中東和平プロセスの促進に加え、イラン封じ込め対策への支持をとりつけたいとの抱負を語った。

 しかし 前週には、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)が、ブッシュ大統領を「花や拍手ではなく爆弾で出迎える」よう呼びかけるビデオメッセージがインターネット上で流されたばかりだ。

 さらに親米的な中東諸国でも、イスラエル寄りのブッシュ大統領の中東訪問は「時間の無駄」とみる論調が多数派だ。

 中東諸国の人々にとって、ブッシュ大統領は筋金入りのイスラエル擁護者でありアラブ側の利害に無頓着な人物と認識されており、同大統領が任期が切れる2009年1月までにイスラエルとパレスチナ間の和平で何らかの成果を達成することは不可能との声が圧倒的だ。

 エジプトの政府系新聞Rose Al-Youssefは、一面に「破壊の国の指導者がやってくる」との見出しを掲げ、「イスラエルのアラブ領土占領を黙認し続けている」としてブッシュ大統領を非難した。

 一方、サウジアラビアのアルワタン(Al-Watan)紙は、ブッシュ大統領の訪問は「同大統領が、前年11月の中東和平国際会議における合意事項を順守すべきとの明確なメッセージをイスラエルの指導者らに示す絶好の機会になる」との期待を示した。

 前年6月以来、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は、「米国の政治状況は完全にイスラエル寄り。ブッシュ大統領の中東訪問には微塵の期待もしていない」との短い声明を発表している。(c)AFP/Ahmad Khatib