【1月8日 AFP】暗殺されたパキスタンのベナジル・ブット(Benazir Bhutto)元首相の夫アシフ・ザルダリ(Asif Ali Zardari)氏(51)が7日午後、AFPのインタビューに応じ、ペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)大統領がブット元首相暗殺を「本人の責任」と発言したことについて反論した。

 ムシャラフ大統領は5日、米テレビ局の取材で、ブット元首相が暗殺されたのは「自動車から外に身を乗り出し立っていた本人の責任」と発言した。

 ナウデロ(Naudero)にあるブット元首相の住居でインタビューに応じたザルダリ氏は、ムシャラフ大統領に反撃。大統領がブット元首相の死因について、政府の公式見解であるサンルーフへの頭部強打による死亡ではなく、射殺された可能性もあると発言したことが、当局が「何かを隠ぺいしている」証拠だと指摘した。

 また、「ムシャラフ大統領は、少なくとも責任転嫁しようとしている」と主張。「彼女は大統領に対し、文書で支援と治安維持を国際社会に要請する許可を求めていたが、政府はこれを拒否した」と明らかにした。同氏は暗殺事件について国連(UN)による捜査を求めている。

 ザルダリ氏はムシャラフ大統領の発言を侮辱にとし、さらに「民主主義に対する侮辱で、ムシャラフ大統領はパキスタンを結束できた人物1人を救うこともできなかった」と主張した。

 同氏は弔問客に対応した後、米CBSテレビのインタビューにも応じ、ムシャラフ大統領が、ブット元首相の死因が射殺だった可能性を認めたことについて、「政府は4度も見解を変えた。変更する理由は何かを隠ぺいしたいからだ」と非難を展開した。

 また、ムシャラフ大統領が主張する、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)による犯行との見方を一蹴(いっしゅう)し、「アルカイダは総選挙に関してわれわれと対立しておらず、さらに言えばアルカイダは犯行への関与を否定している。なぜわれわれは政府を信じなければならないのか?」と訴えた。

 同氏は一方で、パキスタン人民党(Pakistan People's PartyPPP)が選挙で勝った場合、ブット元首相の親欧米路線を継承して、イスラム過激派には強硬な姿勢で臨むとし、米国のさらなる支援を歓迎した。(c)AFP/Danny Kemp