【1月7日 AFP】次世代DVDをめぐる規格争いで米映画大手ワーナー・ブラザース(Warner Bros.)がブルーレイ(Blu-ray)支持を表明したことを受け、対立するHD DVD陣営に動揺が広がっている。

 ワーナー・ブラザースはハリウッド映画のDVD販売最大手。東芝(Toshiba)率いるHD DVD陣営から撤退し、今後はソニー(Sony)率いるブルーレイ方式のみでDVDをリリースすると4日に発表した。

 HD DVD推進団体HD DVD Promotion Groupは、米ラスベガス(Las Vegas)で開かれる世界最大の家電見本市、国際コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)開幕前夜の6日に記者会見を予定していたが、「ワーナーの発表のタイミングから判断し、会見の中止を決めた」とのコメントを発表した。

 記者会見には東芝、マイクロソフト(Microsoft)、インテル(Intel)、ユニバーサル・ピクチャーズ(Universal Pictures)、パラマウント・ピクチャーズ(Paramount Pictures)に加え、ワーナー・ホーム・ビデオ(Warner Home Video)の幹部が出席することになっていた。

 東芝の米国法人、東芝アメリカ家電社の小坂明生(Akio Ozaka)社長は6日、ワーナーの決定は予想外で残念だとしながらも、引き続きHD DVDを推進する姿勢に変わりはないと語った。

■HD DVD陣営に大きな打撃か

 別の東芝関係者は「業界関係者がすべて、HD DVDは終わりだと言っているのはつらい。しかしこれで終わりだと言われたことは以前にもある。HD DVDは消費者にとって最善の方式だと信じている」と胸の内を明かした。

 一方、勢いに乗ったソニーは、パソコンでDVDを再生するためのブルーレイディスクドライブ(200ドル)を発表。ハワード・ストリンガー(Howard Stringer)会長兼最高経営責任者(CEO)は記者会見で、ワーナーの決定に感謝すると述べた。

 CESに出席した業界関係者は、ワーナーがブルーレイ陣営に鞍替えしたことは、世界標準を目指すHD DVDにとって致命的な打撃になるとの見方を示した。

 シリコンバレー(Silicon Valley)のアナリストも、HD DVDは間もなく終わるだろうと予想する。ただ、映画の購入方法はDVDに代わってインターネットからのダウンロードに移りつつあり、次世代DVD規格戦争の成り行きに意味があるかどうかは疑わしいと指摘した。(c)AFP