【1月7日 AFP】大統領選の結果をめぐる混乱から全土で暴動が発生しているケニアについて、国連機関など国際援助団体は6日、「人道的危機が迫っている」と警告を発した。

 全土で治安が悪化し、支援物資が枯渇する中、現地に支援チームを派遣している複数の援助団体は、数十万人に上るとされる国内避難民への援助を試みている。危機的状態が最も懸念されるのは同国西部だという。

■清潔な水の不足から、疫病の懸念

 医療慈善団体メルリン(Merlin)のケニア・ディレクターWubeshet Woldermariam氏は「特に(西部の街)キスム(Kisumu)周辺で、食糧と清潔な飲料水が危険なレベルで枯渇しつつある。不衛生な水を飲まざるをえないために下痢や伝染病、脱水症状を起こしかねない。数日内に平和が回復されなければ、疫病の大発生や深刻な脱水症の脅威が極めて現実的となる」と訴えた。

■国内避難民25万人

 12月27日の大統領選後に広がった暴動での死者は、AFPの集計で少なくとも361人に上っている。国連(UN)は、ケニア人25万人が避難を余儀なくされたと推計しており、うち10万人は西部リフトバレー(Rift Valley)で緊急支援を必要としているという。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は援助を約束した。

 学校や病院、教会などに設置された仮設避難所は非常に混雑しており、その大半は援助チーム自身の安全確保のためいまだ支援が行き届いていないことから、現地入りしている援助活動家たちは疾患の大流行を恐れている。

 ケニア赤十字社(Red Cross Society)によると、首都ナイロビ(Nairobi)でも物資の供給が困難な状況だという。ナイロビのスラム街では、略奪や放火により住民たちが財産を失っている。

■難民も5000人以上、ウガンダ、タンザニアへ

 一方、世界食糧計画(WFP)は港湾都市モンバサ(Mombasa)で援助用の食糧を積んだトラックが、治安悪化や自警団による道路封鎖の影響で、目的地に到着できていないと報告した。援助トラックが、高速道路を走行中に襲撃されないよう、ケニア政府は同国軍にトラックの護衛を命じた。

 また、国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、危険地域にある多くの病院ではさまざまな負傷者などに対処するため医薬品の供給を必要としている。

 さらに、国連緊急援助調整官室(Office for the Coordination of Humanitarian AffairsOCHA)は、ケニア人約5000人が隣国ウガンダに逃げ込んだと推計。タンザニアにも難民が流入しているもようだがその数は確認できていない。難民たちは学校や教会、親戚の家などに滞在しているという。

 赤十字国際委員会(International Committee of the Red CrossICRC)は4日、ケニアを未曾有の危機から救うため1300万ドル(約14億1200万円)の国際援助を要請した。(c)AFP/Bogonko Bosire