【12月28日 AFP】再保険会社の世界第2位、ドイツのミュンヘン再保険グループ(Munich Re)は27日、2007年は自然災害が発生回数でも被害額でも前年を上回ったこと、気候変動の影響で被害額は来年以降さらに増加するとみられることを明らかにした。

 同グループの発表によれば、今年発生した自然災害は前年比で100件増の950件だった。これは、1974年にデータ収集を開始して以来、最悪の数値だという。

 被害額は750億ドル(約8兆4700億円)で、前年の500億ドル(約5兆6500億円)を大幅に上回った。

 ただしこれは、過去最悪の被害額を記録した2005年の2200億ドル(約24兆8500億円)の約3分の1。同年は米南部を直撃したハリケーン・カトリーナ(Hurricane Katrina)、パキスタン地震など、大規模自然災害が目立ったためだ。

 2007年最大の自然災害は7月に新潟県中越沖で発生した地震で、被害額は125億ドル(約1兆4100億円)に上った。保険金額でみると、1月に欧州を襲った暴風雨「キリル(Kyrill)」による58億ドル(約6500億円)が最も大きい。

 また自然災害による死者数は2万人で、特に大きな被害を受けたのは途上国と新興国だった。たとえば11月にバングラデシュを直撃したサイクロン・シドル(Cyclone Sidr)は3300人もの死者を出した。

 保険金額でみてキリルに次ぐ規模となったのは英国で発生した洪水で、ミュンヘン再保険グループでは、「洪水やサイクロンの頻発は、このまま気候変動対策を講じなかった場合、大規模災害が起こりうることを予感させる」としている。

 同グループでジオリスク研究に当たるPeter Hoeppe氏は、「もちろん、こうした事象をすべて気候変動に起因するものと結論づけることはできない。ただしその発生傾向をみると、暴風雨の規模が増し、降雨量が増え、洪水の発生頻度が高まるといった長期的予測に合致していると言えるだろう」と警鐘を鳴らした。(c)AFP