【12月23日 AFP】米国に拠点を置く自然保護団体、野生生物保護協会(Wildlife Conservation SocietyWCS)は22日、生物学の専門誌「BMCバイオロジー(BMC Biology)」に論文を発表し、従来1つの種と考えられていたアフリカのキリンは実は複数の亜種に分化しており、うち少なくとも6種が人為的な原因や自然環境の変化により、保護しないかぎり絶滅する恐れがあると警告した。

 WCSの支援で共同研究を行ったケニアと米国の生物学者らによると、アフリカのサバンナ全域にわたり約11万頭が生息していたキリンは、当初単一種だと思われていたが、複数の亜種に分化していた。こうした特定の遺伝的な特徴を共有するグループのなかには乾燥気候やさまざまな種類の人為的原因により個体数が激減したものがある。

「密猟やソマリア、エチオピア、ケニアなどおける紛争の影響で、アミメキリン(reticulated giraffes)は1990年代の約2万7000頭から3000頭まで激減している」と同報告書は警鐘を鳴らす。「以前は存在を認識されていなかった亜種のいくつかが深刻な絶滅の危機にある。例えば、西アフリカキリンは現在ニジェールの特定の地域に約100頭が残っているだけだ」という。

 ナイジェリアキリン(Giraffa camelopardalis peralta)は西アフリカおよび中央アフリカで少なくとも160頭が、ロスチャイルドキリン(Giraffa camelopardalis rothschildi)は200~300頭がケニアやウガンダの自然保護区で確認されている。

「キリンは単一種と考えられるという前提」が障害となり、国際自然保護連合(World Conservation UnionIUCN)の絶滅リストでさえも、キリンの絶滅リスクは低いと位置づけているため、こうした亜種の絶滅は現実問題だと科学者たちは警告する。 
 
 「BMCバイオロジー」に掲載されたキリンの遺伝子構造に関する研究は、単一種理論が矛盾することを示し、このことを自然保護関係者が正しく認識しなければ、特定の亜種の激減や絶滅の恐れがでてくるため、亜種ごとに保護活動を行うことが必要だと訴えた。(c)AFP/Bogonko Bosire