【12月17日 AFP】韓国大統領選の投票日が19日に迫った。10年にわたる革新政権に対する幻滅ムードを反映し、選挙戦は経済界出身の保守系野党ハンナラ党(Grand National PartyGNP)の李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)候補の独走状態にある。

 選挙運動が政策論争というより中傷合戦の様相を呈する中、建設会社社長、ソウル(Seoul)市長などを務めた経歴を持つ李候補は45%近い支持率で他候補を引き離している。このまま当選すれば、初の経済界出身の大統領となる。

 李候補人気の背景について、延世大学(Yonsei University)の政治学教授Kim Dong-No氏は、1997年の金融危機で終えんした高度経済成長期を懐かしむ有権者が多いためだと分析する。

 若者の高失業率、所得格差の拡大、高い教育費、ここ数年で急騰した不動産価格を引き合いにKim氏は「改革のスローガンは有権者にとってほとんど魅力を失った」と指摘した。韓国の経済成長率は過去10年、年平均4.4%となり、金融危機前の平均8%から落ち込んでいる。

 一方アナリストは、財界出身の李氏に対しては経済再活性化実現の手腕が期待されており、それが人気につながっていると見る。

 李候補は経済成長期の1970年代と80年代に現代建設会長などを歴任し、ソウル市長を務めた2002-2006年には、人気スポットとなった市中心部の親水地開発など大規模な環境プロジェクトを推進して「ブルドーザー」の異名をとった。

 2002年の前回選挙では北朝鮮問題などの差し迫った課題を前に、経済はそれほど重視されなかった。しかし今回は北朝鮮が2006年10月に核実験を実施したにもかかわらず、核無能力化のプロセスが進んでいることもあって、北朝鮮問題はそれほど重視されていない。(c)AFP/Park Chan-Kyong