【12月16日 AFP】(一部修正)ニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)のアンディ・ペティット(Andy Pettitte)は現地15日、声明でヒト成長ホルモン(Human Growth Hormone)の使用を認めた。一方、チームメイトで新たに10年総額2億7500万ドル(約309億円)でヤンキースと契約を結んだアレックス・ロドリゲス(Alex Rodriguez)は、自身の能力を向上させるためにステロイドを使用したという告発を一蹴した。

 2007年始めまでヤンキースのロジャー・クレメンス(Roger Clemens)とアンディ・ペティット(Andy Pettitte)の個人トレーナーを務めていたブライアン・マクナミー(Brian McNamee)氏からの証言も記されている、ベースボール界の違法薬物使用を暴いたジョージ・J・ミッチェル(George J. Mitchell)元上院議員の報告書の中にはロジャー・クレメンスとアンディ・ペティットの名前がはっきりと記されており、報告書には、『ペティットは2002年の4月21日から6月14日まで、肘の腱炎で故障者リスト入りをしていました。マクナミー氏は、「ヤンキースの施設があるタンパ(Tampa)でリハビリに励んでいたペティットが電話でマクナミー氏にヒト成長ホルモンに関して尋ねてきました」と語り、ペティットは回復を早めてチームを助けたいと語った。マクナミー氏はペティットの要請でタンパに向かい、約10日間をペティットと共に過ごしリハビリを手伝った。マクナミー氏は、「元ニューヨーク・メッツ(New York Mets)の球団職員で1985年から1995年にかけて運動能力向上薬物を選手に販売していたとして4月に有罪判決を受けているカーク・ラドムスキー(Kirk Radomski)被告から複数回購入したヒト成長ホルモンをペティットに注射した」ことを回想した。ペティットはマクナミー氏に対して旅費と経費を支払ったが、ヒト成長ホルモンの費用は個別には支払われていない』と記されていた。

 ペティットは15日に、「2002年に私は肘を負傷しました。ヒト成長ホルモンは肘の怪我の回復を早める効果があると聞きました。私はチームにできるだけ早く戻ることが自分の義務であると感じていました。これが唯一の理由で私は2日間に亘りヒト成長ホルモンを使用しました。MLBの規定には違反していなかったが、私は自分のしていることを不安に思い、使用を止めました。これが事実です。私の人生において2日間です。私のキャリアの中で故障者リスト入りをしていた間の2日間だけです」と声明を発表し、自身に関する報告書の内容は事実であり間違ではないことを認めた。

 ペティットの声明に続いてヤンキースも声明を発表し、ペティット自身が声明文を出したいと申し出てきたたのでチームとしてサポートしたことを明かした。

 一方、ロアレックス・ロドリゲスは米CBSテレビの『60ミニッツ(60 Minutes)』の中でこれまでにヒト成長ホルモンやその他の運動能力向上薬を使用したことがあるかを尋ねられると、「いいえ」と答え「私は8回か9回ほどドーピング検査を受けたことがある。チームメイトの何人かは7、8回あるいは6回程度検査を受けていた。MLB機構のバド・セリグ(Bud Selig)コミッショナーとMLBはいくつかの厳しい規則を設けるなど非常に良い仕事をしてきたと思う」と語った。

 また「今回のことは私には堪えるよ。彼らは私と共にプレーをする選手たちで、尊敬もしている。もし今回のことで結果的に何かが生じる事態となれば、ベースボール界には大きな黒い目が向けられることになるだろう」と、ミッチェル氏の報告書の中でドーピングを行ったことで名前を挙げられている選手たちを今でも尊敬していることを明かした。

 元メジャーリーガーでステロイド使用を認めたホセ・カンセコ(Jose Canseco)氏は12日に、ミッチェル氏の報告書の中にアレックス・ロドリゲスの名前がないことに驚いたと話していた。(c)AFP