第65回ゴールデングローブ賞のノミネート発表
このニュースをシェア
【12月14日 AFP】第65回ゴールデングローブ賞(The 65th Annual Golden Globe Awards)のノミネーション・リストが13日に発表された。第二次世界大戦を舞台に悲劇の恋人たちを描いた英国作品『つぐない(Atonement)』が、今回最多となる7部門にノミネートされた。
イアン・マキューアン(Ian McEwan)の同名小説(邦題:『贖罪』)を映画化した同作品は、作品賞(ドラマ部門)と監督賞のほか、主演のキーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)が主演女優賞(ドラマ部門)に、ジェームズ・マカヴォイ(James McAvoy)が主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされている。
作品賞のノミネートリストには例年5作品が選ばれるが、今回は7作品が名を連ね、暴力をテーマにした暗い内容の映画が大半を占めた。
ジョニー・デップ(Johnny Depp)が喉を切り裂く理容師を演じる、ティム・バートン(Tim Burton)監督の『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street)』は4部門にノミネート。主演のデップは主演男優賞に、ヘレナ・ボナム・カーター(Helena Bonham-Carter)は主演女優賞(共にミュージカル・コメディー部門)に選ばれている。
ロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)紙の映画・音楽賞専門サイトThe Envelope.comの評論家トム・オニール(Tom O’Neil)氏は、「『スウィーニー・トッド』は間違いなく血みどろの作品だが、暴力シーンの割合にかかわらず、良い映画が選ばれる傾向にあるということだ」と語った。
映画情報サイトMovies.comのルー・ハリス(Lew Harris)編集長も同意見で、「驚いたのは、暴力を描いた作品が数多くノミネートされたということだ。『つぐない』のような恋愛映画でも、目を覆いたくなるような戦争のシーンが含まれている」と述べている。
『つぐない』のジョー・ライト(Joe Wright)監督は、 今回のノミネート結果に驚いていた。「本当に信じられない。これは静かな映画だ。小説も素晴らしく映画化できてとても幸運だった。これは個々人の心に響く作品だ」とエンターテインメント情報誌バラエティ(Variety)に語っている。
7部門に次ぐ5部門にノミネートされたのは、マイク・ニコルズ(Mike Nichols)監督の『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(Charlie Wilson's War)』。出演したトム・ハンクス(Tom Hanks)が主演男優賞(ミュージカル・コメディー部門)に、ジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)が助演女優賞にノミネートされている。
今年すでに複数の批評家賞を受賞し、オスカー獲得の呼び声も高い『ノーカントリー』は、作品賞(ドラマ部門)を含む4部門にノミネートを果たした。監督を務めたコーエン兄弟は、監督賞と脚本賞に名を連ねている。
アカデミー賞と違い、ゴールデングローブ賞の作品賞及び主演男優・女優賞は、ドラマ部門とミュージカル・コメディー部門に分けて争われる。ミュージカル部門の主演女優賞にノミネートされている『エディット・ピアフ~愛の讃歌~(La Vie En Rose)』でフランス人歌手エディット・ピアフ(Edith Piaf)を演じたマリオン・コティヤール(Marion Cotillard)は、「わたしだけでなく映画に関わったすべての人が評価されたということなので、とてもうれしい」と語った。
ジュリアン・シュナーベル監督のフランス映画『潜水服は蝶の夢を見る(The Diving Bell and the Butterfly)』は、監督賞のほか、外国語映画賞など3部門に名を連ねた。外国語映画賞には、第60回カンヌ国際映画祭(60th Cannes Film Festival)でパルム・ドール(Palme d’Or)に輝いた『4 Months, 3 Weeks and 2 Days』も選ばれている。
しかし、注目されながらノミネートされなかったものもある。新作コメディー『The Bucket List』での演技が評価されていたジャック・ニコルソン(Jack Nicholson)や、放送映画批評家協会賞(Critics' Choice Awards)で複数部門にノミネートされていたショーン・ペン(Sean Penn)監督の『イントゥ・ザ・ワイルド(Into the Wild)』などだ。
アカデミー賞に次ぐ大きな映画賞であるゴールデングローブ賞は、オスカーの行方を左右するともいわれ、これまでゴールデングローブ賞で最優秀作品賞を受賞した44作品(ドラマ部門)のうち24作品がオスカーを獲得している。今回はアカデミー賞のノミネートリストが発表される9日前の、2008年1月13日に授賞式が行われる。
■ノミネート一覧
<作品賞(ドラマ部門)>
-『アメリカン・ギャングスター(American Gangster)』
-『つぐない(Atonement)』
-『Eastern Promises』
-『The Great Debaters』
-『マイケル・クレイトン(Michael Clayton)』
-『ノーカントリー(No Country for Old Men)』
-『There Will Be Blood』
<主演男優賞(ドラマ部門)>
- ジョージ・クルーニー(George Clooney)--『マイケル・クレイトン』
- ダニエル・デイ・ルイス(Daniel Day-Lewis)--『There Will Be Blood』
- ジェームズ・マカヴォイ(James McAvoy)--『つぐない』
- ヴィゴ・モーテンセン(Viggo Mortensen)--『Eastern Promises』
- デンゼル・ワシントン(Denzel Washington)--『アメリカン・ギャングスター』
<主演女優賞(ドラマ部門)>
- ケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)--『エリザベス:ゴールデン・エイジ(Elizabeth: The Golden Age)』
- ジュリー・クリスティ(Julie Christie)--『Away From Her』
- ジョディ・フォスター(Jodie Foster)--『ブレイブ・ワン(The Brave One)』
- アンジェリーナ・ジョリー(Angelina Jolie)--『マイティ・ハート/愛と絆(A Mighty Heart)』
- キーラ・ナイトレイ(Keira Knightley)--『つぐない』
<作品賞(ミュージカル・コメディー部門)>
-『Across The Universe』
-『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー(Charlie Wilson's War)』
-『ヘアスプレー(Hairspray)』
-『ジュノー(Juno)』
-『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(Sweeney Todd: The Demon Barber of Fleet Street)』
<主演女優賞(ミュージカル・コメディー部門)>
- エイミー・アダムス(Amy Adams)--『魔法にかけられて(Enchanted)』
- ニッキー・ブロンスキー(Nikki Blonsky)--『ヘアスプレー』
- ヘレナ・ボナム・カーター(Helena Bonham Carter)--『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
- マリオン・コティヤール(Marion Cotillard)--『エディット・ピアフ~愛の讃歌~(La Vie En Rose)』
- エレン・ペイジ(Ellen Page)--『ジュノー』
<主演男優賞(ミュージカル・コメディー部門)>
- ジョニー・デップ(Johnny Depp)--『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
- ライアン・ゴスリング(Ryan Gosling)--『Lars and the Real Girl』
- トム・ハンクス(Tom Hanks)--『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』
- フィリップ・シーモア・ホフマン(Philip Seymour Hoffman)--『The Savages』
- ジョン・C・ライリー(John C. Reilly)--『Walk Hard: The Dewey Cox Story』
<監督賞>
- ティム・バートン(Tim Burton)--『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
- イーサン・コーエン(Ethan Coen)、ジョエル・コーエン(Joel Coen)--『ノーカントリー』
- ジュリアン・シュナベール(Julian Schnabel)--『潜水服は蝶の夢を見る(The Diving Bell and the Butterfly)』
- リドリー・スコット(Ridley Scott)--『アメリカン・ギャングスター』
- ジョー・ライト(Joe Wright)--『つぐない』
<アニメ映画賞>
-『レミーのおいしいレストラン(Ratatouille)』
-『ビー・ムービー(Bee Movie)』
-『ザ・シンプソンズ MOVIE(The Simpsons Movie)』
<外国語映画賞>
-『4ヶ月、3週と2日(4 Months、3 Weeks and 2 Days)』(ルーマニア)
-『潜水服は蝶の夢を見る』(フランス/米国)
-『君のためなら千回でも(The Kite Runner)』(米国)
-『ラスト、コーション/色・戒(Lust Caution)』(台湾)
-『ペルセポリス(Persepolis)』(フランス)
<助演女優賞>
- ケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)--『I'm not there』
- ジュリア・ロバーツ(Julia Roberts)--『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』
- シーアシャ・ローナン(Saoirse Ronan)--『つぐない』
- エイミー・ライアン(Amy Ryan)--『Gone Baby Gone』
- ティルダ・スウィントン(Tilda Swinton)--『マイケル・クレイトン』
<助演男優賞>
- ケイシー・アフレック(Casey Affleck)--『ジェシー・ジェームズの暗殺(The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford)』
- ハビエル・バルデム(Javier Bardem)--『ノーカントリー』
-フィリップ・シーモア・ホフマン(Philip Seymour Hoffman)--『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』
- ジョン・トラボルタ(John Travolta)--『ヘアスプレー』
- トム・ウィルキンソン(Tom Wilkinson)--『マイケル・クレイトン』
<脚本賞>
- ディアブロ・コーディ(Diablo Cody)--『ジュノー』
- イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン--『ノーカントリー』
- クリストファー・ハンプトン(Christopher Hampton)--『つぐない』
- ロナルド・ハーウッド(Ronald Harwood)--『潜水服は蝶の夢を見る』
- アーロン・ソーキン(Aaron Sorkin)--『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』
(c)AFP