【12月14日 AFP】(記事更新、写真追加、一部修正)米大リーグ(MLB)における運動能力向上薬物の調査により、バリー・ボンズ(Barry Bonds)やロジャー・クレメンス(Roger Clemens)をはじめとする有名選手たちの名前が明らかとなった。

 調査を行っていたジョージ・J・ミッチェル(George J. Mitchell)元上院議員は「10年以上に渡りアナボリックステロイドは検査をされずに済んでいた。そして全30チームで少なくとも1人以上の選手がこの運動能力向上剤を使用しており、我々が発見した証拠はこの問題が単に数名の選手や数チームが関与しただけではなく、多くの選手が関わっていることを示している」と語った。

 報告書の中ではクレメンスやボンズの他に、アンディ・ペティット(Andy Pettitte)をはじめ、ミゲル・テハダ(Miguel Tejada)、エリック・ガニエ(Eric Gagne)などの現役選手に引退した選手も含め、約80名の選手の名前が明らかになった。ミッチェル氏は「10年以上に渡り、メジャーリーグでは違法薬物の使用が蔓延していた」と語った。

 ミッチェル氏が行った薬物を使用した選手に関する調査結果の公開までには約20か月を費やした。MLB機構のコミッショナーを務めるバド・セリグ(Bud Selig)氏は、同日中に記者会見を開く予定となっており、また選手会も記者会見を開く予定となっている。

 ミッチェル氏はベースボール界における薬物検査の強化を要求し、将来の薬物の乱用を防ぐためにも改善していくことを推奨した。同時にミッチェル氏は外部の機関にドーピング検査を委託し、ベースボール界のためにも調査機関を設けることを要求した。ミッチェル氏は「その機関は透明でなくてはならない。また1年を通して抜き打ち検査を行わなくてはならない」と語った。

 MLB機構は報告書を公に発表する前に400ページ以上にわたる報告書の再確認を行った。MLB機構が最も気にかけたことは、公表する報告書の内容が選手会との契約に違反しないかどうかであり、その確認に3日間を必要とした。ミッチェル氏は処分内容はコミッショナーのセリグ氏に委ねるとし、今回明らかになった選手たちにいかなる処分が下されるべきかについては報告書の中で言及していない。

 しかし今回、いかにベースボール界が長年に渡り運動能力向上薬を見逃してきたか、またどのように選手会がドーピング検査をごまかそうと試みていたかが明らかになった。

 今回の調査は選手からの激しい抵抗を受けており、ミッチェル氏は「ベースボール界でステロイドの使用は蔓延しており、当初は効果を得ることができなかった。理由は私と話すのを拒んだ現役選手たちに話を聞くことが困難だったからだ。すべての選手が私と面談し、私と話すことを拒んだ。この報告書の名簿に関しては様々な憶測が飛び交っているが、彼らの名前を記載することは適切であり必要なことだった」と話している。

 ミッチェル氏の報告書の大半は、監督やゼネラルマネージャー(GM)、元選手、フィジカルトレーナー、元ニューヨーク・メッツ(New York Mets)の球団職員であるカーク・ラドムスキー(Kirk Radomski)被告らからの証言を基に作成されている。

 ラドムスキー被告は1985年から1995年にかけて運動能力向上薬物を選手に販売していたとして4月に有罪判決を受けており、同氏は米司法省との司法取引の一環としてミッチェル氏の調査に協力し選手名のリストを提供している。

 ベースボール界は他のスポーツに比べてドーピングに関する対応が遅く、現行のドーピング検査は2005年に作られたものであり、当時ヒト成長ホルモンは禁止されていなかったため処分の対象にすらなっていなかった。ミッチェル氏は「数名の選手には、抜き打ち検査が行われることが通知されていた」と話す。

 運動能力向上剤を使用した選手で報告書に記載されていない選手はまだいると話すミッチェル氏は「運動能力向上剤を使用していた選手がどんどんと有利になっていくことに不満を募らせていた多くの元選手たちから話を聞いた。ただ違法薬物を使用したすべての選手を特定するには途方もない時間を必要とし、特定することは不可能だ」と語った。

 これまでにドーピング問題が騒がれた選手は、ホセ・カンセコ(Jose Canseco)氏をはじめ、マーク・マグワイア(Mark McGwire)氏、ジェイソン・ジアンビー(Jason Giambi)、ゲイリー・シェフィールド(Gary Sheffield)、そして故ケン・カミニティ(Ken Caminiti)氏などがいる。

 報告書はボンズが4件の偽証罪と1件の司法妨害の罪で起訴されてから1か月も経たないうちに発表されることになった。ボンズは今回も無罪を主張している。

 今回の報告書には、かつてテキサス・レンジャーズ(Texas Rangers)の共同オーナーを務めたジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領も興味を示しているとされており、米ホワイトハウスのダナ・ペリーノ(Dana Perino)大統領報道官は、「大統領はレポートを見る事を心待ちにしており、このレポートがステロイドの終焉の幕開けになることを願っている」と語った。

■報告書に記載された主な選手名

-ロジャー・クレメンス
-バリー・ボンズ
-ケビン・ブラウン(Kevin Brown
-ベニート・サンティアゴ(Benito Santiago
-トロイ・グラウス(Troy Glaus
-ラファエル・パルメイロ(Rafael Palmeiro
-ゲイリー・シェフィールド
-ホセ・カンセコ
-ジェイソン・ジアンビー
-ミゲル・テハダ
-デービッド・ジャスティス(David Justice
-エリック・ガニエ
-ウォーリー・ジョイナー(Wally Joyner
-モー・ボーン(Mo Vaughn

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