【12月8日 AFP】MLB最多本塁打記録保持者でサンフランシスコ・ジャイアンツ(San Francisco Giants)の元外野手、バリー・ボンズ(Barry Bonds)被告が筋肉増強剤などの薬物使用を否定し偽証罪で起訴された事件で、現地7日罪状認否のため出廷し無罪を主張した。

 2007年シーズンにハンク・アーロン(Hank Aaron)氏の持つ通算本塁打数記録を更新したボンズ被告は、スポーツ界を揺るがした薬物配布の事件について連邦捜査官に虚偽の発言をしたとして起訴されていた。

 ボンズ被告はこのスキャンダルの中では最も有名なスポーツ選手で4件の偽証罪と1件の司法妨害の罪で起訴されており、すべて有罪となれば最大で30年の禁固刑を言い渡される可能性もある。ボンズ被告の保釈金は50万ドル(約5550万円)となった。

 フィリップ・バートン米連邦ビル(Philip Burton Federal Building)に妻のリズ(Liz)さんと共にスーツ姿で現れたボンズ被告は大勢の報道陣に囲まれたが、その報道関係者や集まった人々に手を振って建物の中に入った。11月15日に起訴されて以来ボンズ被告が公の場に姿を現したのは、今回の罪状認否の為の出廷が初めてとなる。

 今回の起訴でボンズ被告が大成功を収めたと思われた1年が散々な結末となった。2007年8月7日にボンズ被告はアーロン氏の記録を破る通算756号本塁打を放ち、アーロン氏の記録より7本多い762号まで記録を伸ばして2007年シーズンを終えた。また、2001年シーズンにはシーズン本塁打記録の73本を記録している。しかし、ボンズ被告自身は不正を否定しているものの、栄養補助食品会社バルコ(Bay Area Laboratory Co-operativeBALCO)との関係がドーピング疑惑への疑問点となり、その偉業に影を落としている。

 起訴状によると、ボンズ被告がバルコ社関連事件で既に有罪となり当時個人トレーナーを務めていたグレッグ・アンダーソン(Greg Anderson)被告から支給されたステロイドを知らずに使用したとする主張が偽証であるとしている。

 地元紙サンフランシスコ・クロニクル(San Francisco Chronicle)が、非公開だったボンズ被告の米連邦大陪審証言を掲載したり、同紙発刊の書籍「ゲーム・オブ・シャドー(Game of Shadow)」によって薬物使用歴が暴露されるなどし、ボンズ被告は球史に名を残す業績を持ちながらファンからもさげすまれつつある。

 ボンズ被告とステロイド使用に関連する多種多様な証拠はあるが、法律家は2008年には最終的に裁判となるこの事件では検察官にとって決して「決定打」となるものではないと主張する。元連邦検察官で弁護士を務めるブラッド・サイモン(Brad Simon)氏は「偽証は伝統的に「彼はこう言った、彼女はこう言った」という供述に頼るもので、検察官にとっては証明することが非常に難しいものです。いかなる場合においてもこう言ったものは検察側にとって決定打にはなりません」と語っている。(c)AFP