【12月7日 AFP】日本の太陽観測衛星「ひので(Hinode)」によって収集されたデータにより、比較的低い表面温度に比べて太陽を取り囲むコロナが超高温である理由を説明できる可能性があるとの研究報告が6日、米科学誌「サイエンス(Science)」に掲載された。

 コロナの温度が数百万K(ケルビン)と、表面温度の200-300倍にも上るという謎は、太陽物理学者を50年以上も悩ませ続けてきた。大きく分けて、この原因を微小な太陽フレアとする説と、磁力線に沿って進むアルヴェーン波(Alfven wave)とする説の2つがある。

 これまでにも複数の研究チームが、アルヴェーン波が磁力線に沿って太陽から遠ざかるときにエネルギーを放出することで、コロナを超高温にしている可能性があることの証拠を報告している。ただ、観測装置の限界のため決定的な証拠をつかむことができなかった。

 しかし、太陽磁場の小さな変化を正確に観測できる「ひので」が収集したデータにより状況は一変した。

 可視光・磁場望遠鏡(Solar Optical TelescopeSOT)によって撮影された画像は、太陽表面とコロナの間に挟まれた彩層と呼ばれる領域が激しく振動するアルヴェーン波に満たされていることを示している。

 この振動によりアルヴェーン波が生み出すエネルギーは、コロナを高温にするのに十分だという。

 研究チームの1人、英シェフィールド大学(University of Sheffield)のRobertus Erdelyi教授は「どのようにコロナを加熱するのか、エネルギーがどこから来るのかは定かではないが、振動がコロナを加熱するのに十分なエネルギーを持っていることは間違いない」と指摘する。(c)AFP