【12月3日 AFP】2日に下院選挙の投票が行われたロシア。僻地の雪深い村では、選挙管理委員が投票箱を持って家々を回るという、トルストイの小説をほうふつとさせる光景が展開された。

 首都モスクワ(Moscow)から40キロ北、松と樺の林に囲まれたソコルニキ(Sokolniky)村では、77歳のYevdotia Troshimovaさんが「プーチン(Vladimir Putin)大統領に投票するにはどうしたらいいの?」と、投票箱を抱えた選管委員に聞いていた。

 隣人宅の台所で投票したAlexander Solovyovさんは、「プーチンに投票したよ。彼の党(統一ロシア、United Russia)と彼を愛しているから。彼の幸せと成功を祈るよ」と語った。この台所の投票所には、近所一帯の人々が訪れた。多くが年配者で、バスローブにスリッパという身なりで、廊下をよろよろと行き来していた。

 ソコルニキ、Andreyovskoye、イストラ(Istra)などの村を取材したAFP記者は、投票者のプライバシーがほとんど守られていない実態をまのあたりにした。ほとんどの投票者が、周りの人に丸見えの状態で政党名を記入していたからだ。そしてその多くが、「統一ロシア」と記載した。

 Solovyovさんの妻Zinaidaさん(76)も、その1人。ただし、地元の同党議員は大嫌いだという。「でも統一ロシアにいれないと、国がばらばらになっちゃうんですもの」と投票理由を話した。

 彼女のほかにも、「統一ロシアが政権を降りると、1990年代のソ連崩壊直後の混沌(こんとん)と経済破たんに逆戻りする」と考えて同党に投票した有権者は多い。プーチン大統領もそうした恐怖感を巧みに植え付ける戦術をとってきた。

 だが、みなが同意見というわけではない。Andreyovskoye村で、自宅の台所で投票したVera Barkovskayaさん(54)は、「もちろんプーチンを支持しているけれど、議会のバランスも考えなくちゃね」と述べ、共産党に投票したことを明かした。

 Barkovskayaさん夫妻は、投票の際のプライバシーを重視し、投票箱のそばに座っている2人の選挙管理委員に対し、投票用紙に記入するところを見ないよう促したという。

 一方、農業を営むLyudmila Voyevodinaさん(46)は、「政治家なんてどれもこれも同じで、うんざり。農民の話をちっとも聞いてくれないんだから」とぼやいた。すると驚いたことに、投票箱を持っている選挙管理委員が「その通りですよね」と応じる一幕も見られた。(c)AFP/Marina Lapenkova