【12月2日 AFP】欧州連合(EU)域内で唯一、エジプトルーセットオオコウモリ(Rousettus aegyptiacus)の生息するキプロスで11月29日、このコウモリ数十匹が銃で撃たれて死んでいるのが見つかり、保護活動家らは怒りをあらわにしている。

 このコウモリは同島一帯に設けられた柵で囲まれた保護地区で暮らしている。同国南西部パフォス(Paphos)近郊Vretsiaで25日に銃声があり、その後洞穴の内外で数十匹のコウモリの死体が見つかった。ハンターがコウモリを殺したとみられている。

 森林局のHarris Nicolaou氏は29日、「ハンターたちは柵で囲まれ標識が立てられている禁猟区域に侵入して洞穴にいるコウモリを脅かして追い出し、銃で撃ったようだ。この地域はこのコウモリの欧州で唯一の生息地で、そのためEU法で保護されている。コウモリが餌を取る場所も保護しなければならない」と強調した。このコウモリを害獣だと誤解して殺す人や、「楽しみのために」殺す人もいるという。

 現在キプロスにエジプトルーセットオオコウモリは3500匹生息しているが、このような事件などでその数は減少を続けている。Nicolaou氏は、EUがキプロスの保護策は不十分だと問題視すれば、キプロスは難しい立場に追い込まれかねないと心配している。

 エジプトルーセットオオコウモリを殺すと最大で1000キプロスポンド(約28万円)の罰金と6か月の禁固が科せられるが、これまでのところ実際に投獄された人はいない。(c)AFP