【11月20日 AFP】(一部修正)今年4月に亡くなった香港(Hong Kong)有数の不動産開発グループ「華懋(チャイナケム、Chinachem)」の会長で大富豪だった故王如心(英名ニナ・ワン、Nina Wang)さんの巨額の遺産相続をめぐる裁判が19日、香港で始まった。裁判では風水師が遺産を単独で相続することを主張した。

 裁判では、風水師の陳振聰(Chan Chun-chuen、英名トニー・チャン、Tony Chan)氏と、ワンさんの遺族が運営するチャイナケム慈善財団(Chinachem Charitable Foundation)の双方の弁護士が出廷した。裁判は和解による解決が失敗に終わったことを受けて行われ、チャン氏の弁護士は相続財産管理人を任命するよう求めた。

 またチャン氏の弁護士は、遺書に名前が記載されていないことを理由に、ワンさんの義理の父親であるWang Din-shin氏が裁判から外れることを求めた。

 風水師と実業家の顔をもつチャン氏は、カナダで薬学を学び、数10億ドルの資産と高級住宅を所有していると言われているが、詳しいことは知られていない。

 ワンさんの遺族側弁護士は裁判所に対し、遺族が相続管理人の任命について反対しないとの意向を示したが、正式な回答までに2週間の猶予を求めた。

 裁判は当事者全員が相続管理人の選任について合意できるよう、1月10日まで休廷とされた。

 チャン氏の弁護士は裁判になる前から、2006年に書かれた遺書にもとづき、420億ドル(約4兆6000億円)ともいわれる遺産をチャン氏が単独で相続することを主張している。

 これに対し、ワンさんの遺族側は、遺産の大半を慈善事業に使うと書かれているとされる2002年の遺書が、最終的かつ有効なものだと主張する文書を4月に出している。今回の裁判でも、弁護士は法廷以外ではコメントを発表していない。

 ワンさんは今年4月がんで亡くなった。享年69歳。子どもはいなかった。(c)AFP