【11月19日 AFP】旧東ドイツの元スパイたちが前週末、デンマークのオーデンセ(Odense)で、東西冷戦における自分たちの役割を振り返る会合を開いた。これに対し、かつての反体制活動家らは、歴史を修正しようとする試みだとして会合を非難している。

■「平和のためのスパイ」? 東ドイツの情報員60人が出席

 この会合はサザン・デンマーク大学(University of Southern Denmark)の冷戦研究センターが主催したもので、東西冷戦時に旧東ドイツの秘密警察「シュタージ(Stasi)」で諜報活動に従事していた約60人が、「冷戦時代の緊迫した平和の生き証人」として出席した。

 会合では、偵察部隊の最後の隊長、ウェルナー・グロスマン(Werner Grossmann)氏の、「他国の情報機関と異なり、われわれは反乱分子を監視したり、暗殺や誘拐に手を染めることはなかった」「西ドイツで雇われ東ドイツに情報を提供したスパイは、平和のためのスパイだ」などとする声明文が読み上げられた。同氏は、主宰者によると病気のため会合をやむなく欠席した。

■「過去の行いを正当化するもの」との批判も

 一方、シュタージに関する膨大な記録を管理しているドイツの「ビルトラー機関(Birthler Authority)」は、「(シュタージの活動に)光を当てるどころか、過去の行いを正当化しようとするものだ」として、この会合を激しく非難した。

 会合は当初6月に予定されていたが、議題に懸念を示したビルトラー機関が参加を辞退し、開催が延期されていた。

■「一流スパイ」が活躍した冷戦時代への懐古と批判
 
 冷戦時代、東ドイツは数千人のスパイを擁し、西ドイツの政府部内に深く潜行していたとされる。スパイの情報収集力は一流とされ、東ドイツの当時の指導者エーリッヒ・ホーネッカー(Erich Honecker)は西ドイツの首相より早く西ドイツの機密情報報告書を読むといわれるほどだった。

 旧東ドイツでは最近、共産主義時代を懐かしむ声が高まっている。そのような中でシュタージの元スパイ2人が2006年、それぞれ本を出版し、東ドイツの歴史を反省せず、粉飾するものだとの批判も噴出している。(c)AFP