【11月14日 AFP】ナチス占領時代、アンネ・フランク(Anne Frank)が隠れ家での生活を書きつづった日記の中に登場するクリの木が、21日に切り倒されることになった。アムステルダム市当局が13日、明らかにした。

 このクリの木は、フランク一家が隠れ住んでいたアムステルダム(Amsterdam)の家の離れから見える、カイザース運河(Keizersgracht)沿いの住居の庭に立っている。

 樹齢は150歳以上だと推定されるが、近年、その健康状態は悪化していた。この木の現在の所有者は、木が倒れ被害が出れば、責任を負わねばならないため伐採を望んでいる。だがその歴史的な背景から、伐採に反対する人も多かった。

 一度は伐採が決定されていたが、10月の時点で伐採の反対者らに何らかの救済方法を考える時間を与えるため、2008年1月までの伐採延期が予定されていた。ところが先週の検査により、木の幹の健康な部分はわずか28%と判明、切り倒すことが決まった。

 アンネは1944年2月23日の日記に、「わたしたちは青い空を見上げた。そして、水滴で光る枝をつけたクリの木、カモメ、急降下するときに銀のように見える鳥たちを見上げた。この光景にとても感動して、言葉も出なかった」と書いている。
 
 当局は伐採後、同じ場所に、接ぎ木によって遺伝的に同じような木を植える計画だという。(c)AFP