【東京 20日 上間常正】日本では初の本格的クラシックカーコンクール、第1回東京コンコース・デレガンスが10月26、27日、東京の六本木などで開かれた。年代物の豪華な自動車を並べて展示し、その美しさを競うコンクールで、パリをはじめ欧米では大人向けの文化的な催しとしても楽しまれている。今回の出品は33台。審査会やパレードなどが行われ、東京ミッドタウンで開かれた27日の一般公開日には悪天候にもかかわらず約8万6000人が来場した。

 参加車は製作年代によって4部門に分けて審査された。1910~30年のクラスA「ヴィンテージ」はまだ自動車技術の試行錯誤の時代で、未熟だが奔放なアイデアとデザインの、それでいてうっとりするほど美しい車が目立った。レースでも活躍したアルファロメオのDOHC6気筒のスパイダー(1929年)は、この当時からすでに低い魅惑的なプロポーションとエンジンの美しさ、そして独特な赤の塗装で輝いていた。

 クラスBの「クラシック」(1931~45年)は本格的なスピード追求が始まった時代。流線型を取り入れたブガッティのタイプ57(1936年)や官能的な曲線で構成されたジャガーのSS100(1937年)などがその代表だ。

 クラスC「ポストウォー・クラシック」(1945~60年)は、戦後の量産時代が進みモノコックボディーなど車の新しいスタイルが続々と登場した。ドライエの135Mカブリオレ(1946年)やメルセデス・ベンツの300SLロードスター(1957年)は、現代の車にはないのびやかで優雅なシルエットが目をひきつけた。

 最後のクラスD「モダンクラシック」(1961~75年)の出品車は、車の大量生産やコストダウンの潮流とは一線を画して美しさとスピードの夢を追う超高級車たちだ。

 25日には前夜祭が開かれ、東京・晴海から六本木ヒルズまでパレードラン。26日には公式展示会と審査会が開かれ、夜から東京ミッドタウンのホテルで審査の発表と賞の授与を兼ねたパーティーが開かれた。

 主催者である東京コンコース・デレガンスのポール・ゴールドスミス代表は「価値観が変化し続ける中で、古きよき時代の優雅さが現代にも脈々と通じていることを、きょう集まった格別にエレガントな車たちを見ることで理解してほしい。この催しを毎年恒例のイベントとして育んでいきたい」と挨拶。

 審査員の一人でもある日産自動車デザイン本部長の中村史郎氏は「70年以上の車製作の歴史があり車の収集家も多い日本で、こうしたコンクールがなかったのが不思議。本物の価値が見直されてきた今、名車の価値を次の世代に伝えていく努力を続けてもらいたい」とスピーチした。(c)MODE PRESS

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