ノーマン・メイラー氏、才能と意欲に満ちたその作家人生
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【11月12日 AFP】10日に死亡した米作家ノーマン・メイラー(Norman Mailer)氏は、第二次世界大戦後の米国を描き、半世紀以上、読者に刺激を与え続けた巨匠だ。
1923年1月31日、ニュージャージー(New Jersey)州のロング・ブランチ(Long Branch)に生まれ、16歳でハーバード大学に入学。1943年に工学の学位を取得して卒業したのち、第二次世界大戦に出兵、フィリピンで従軍した。
そして25歳のとき、一夜にして文学界の寵児となる。メイラー氏が文学界でその後の評判を築き上げるきっかけとなる『裸者と死者(The Naked and the Dead)』を1948年に発表し、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙のベストセラーリストに1位に輝いたのだ。同著は、自身の経験に基づいたもので、日本軍が占領する太平洋の孤島で戦い死んでゆく米軍の小隊が描かれている。
「1920年初頭に有名な私立学校へ行った男が、その後、『あれはわたしの人生で最悪で最も貴重な経験だった』と語った。米軍での経験について、わたしにも同じことが言える」と、メイラー氏は2005年に語っていた。
メイラー氏は並外れた作家だった。最新作は、数か月前に出版されたばかりの『The Castle in the Forest』だが、それまでの60年近くにわたる作家人生で、様々なスタイルやテーマのもと、40作品以上を生み出してきた。中でも1965年の『アメリカの夢(An American Dream)』は、人々の記憶に深く刻まれている。1968年の『夜の軍隊(The Armies of the Night)』ではピュリツァー賞(Pulitzer prize)と全米図書賞(National Book Award)を獲得。ユタ(Utah)州の殺人者ゲイリー・ギルモア(Gary Gilmore)の生と死を描き、のちにトミー・リー・ジョーンズ(Tommy Lee Jones)主演で映画化された、1979年の『死刑執行人の歌 : 殺人者ゲイリー・ギルモアの物語(The Executioner's Song)』でもピュリツァー賞を受けた。
「自分の本を読み直してみると、1つの大きなテーマが浮かんでくる」と、同氏は作家として50周年を迎えた1998年5月に出版された作品集『The Time of our Time』で語っている。「作品のほとんどは米国に関するものだ。米国を愛していることは確かだが、同時にまったく愛してもいなかったことも分かった。民主主義という壮大な理想は、繰り返される愛国主義によって永遠に中傷され、汚され、悪用され、その価値を失ってきた。この偉大な国は、10年おきに欲にまみれた破壊行為を繰り返している」
作家活動を続ける傍ら、詩人、監督としても活躍し、映画への出演経験もある。1969年にはニューヨーク(New York)市の市長候補にもなった。
著名人に興味を抱き、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)、モハメド・アリ(Muhammad Ali)、リー・ハーヴェイ・オズワルド(Lee Harvey Oswald)に関する作品も手掛けた。1997年には、キリストが語り手となる小説『The Gospel According to the Son』も出版している。
生涯を通じて社会に対する怒りの声を上げ続け、1950年代には左派系新聞Village Voiceの共同創設者に。1960年代には、乱闘で数回刑務所に入り、1967年にはベトナム戦争反対を訴えて牢獄されている。自身の経験に基づき、ワシントンD.C.(Washington D.C.)での平和行進を描いた小説『夜の軍隊』では、1960年代当時の反体制的な風潮を描き出している。
反体制的で政治色の強い内容の伝記やノンフィクションの作品が多いことから、トルーマン・カポーティ(Truman Capote)氏と並んで、「クリエイティブ・ノンフィクション」と呼ばれる分野の第一人者となり、その作品は「新ジャーナリズム」の見本として称賛された。メイラー氏がジャーナリストとして書いたそのほかの作品には、アポロ11号の月面着陸について書いた『月にともる火(Of a Fire on the Moon)』などがある。
メイラー氏の作品は常に議論を巻き起こした。女性の描写の仕方でフェミニストを怒らせたこともある。1971年のエッセイ『The Prisoner of Sex』で、当時高まっていた女性解放運動に反発の姿勢を見せ、著名フェミニストのケイト・ミレット(Kate Millet)氏から「究極の男性優越主義者」と非難されたほどだ。モンローの人生を描いた1973年の作品でも、「モンローはロバート・F・ケネディ(Robert F. Kennedy)との不倫関係が原因でFBIとCIAに殺害された」と示唆したことから、批判の対象となった。
私生活では6回結婚し、9人の子どもがいる。以前、NBCのインタビューで、女性が世界を支配するのではないかと心配していると語った。「100年後には男は地球上にわずか100人しか残っておらず、女性が地球を独占している可能性があると、本気で思っている」
時が経っても同氏の驚異的な才能と鋭い物言いは衰えることはなかった。後年には、現代建築を「恥辱」、「大失敗」と非難し、「米国はこの25年でとても醜くなった」と語っていた。(c)AFP
1923年1月31日、ニュージャージー(New Jersey)州のロング・ブランチ(Long Branch)に生まれ、16歳でハーバード大学に入学。1943年に工学の学位を取得して卒業したのち、第二次世界大戦に出兵、フィリピンで従軍した。
そして25歳のとき、一夜にして文学界の寵児となる。メイラー氏が文学界でその後の評判を築き上げるきっかけとなる『裸者と死者(The Naked and the Dead)』を1948年に発表し、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙のベストセラーリストに1位に輝いたのだ。同著は、自身の経験に基づいたもので、日本軍が占領する太平洋の孤島で戦い死んでゆく米軍の小隊が描かれている。
「1920年初頭に有名な私立学校へ行った男が、その後、『あれはわたしの人生で最悪で最も貴重な経験だった』と語った。米軍での経験について、わたしにも同じことが言える」と、メイラー氏は2005年に語っていた。
メイラー氏は並外れた作家だった。最新作は、数か月前に出版されたばかりの『The Castle in the Forest』だが、それまでの60年近くにわたる作家人生で、様々なスタイルやテーマのもと、40作品以上を生み出してきた。中でも1965年の『アメリカの夢(An American Dream)』は、人々の記憶に深く刻まれている。1968年の『夜の軍隊(The Armies of the Night)』ではピュリツァー賞(Pulitzer prize)と全米図書賞(National Book Award)を獲得。ユタ(Utah)州の殺人者ゲイリー・ギルモア(Gary Gilmore)の生と死を描き、のちにトミー・リー・ジョーンズ(Tommy Lee Jones)主演で映画化された、1979年の『死刑執行人の歌 : 殺人者ゲイリー・ギルモアの物語(The Executioner's Song)』でもピュリツァー賞を受けた。
「自分の本を読み直してみると、1つの大きなテーマが浮かんでくる」と、同氏は作家として50周年を迎えた1998年5月に出版された作品集『The Time of our Time』で語っている。「作品のほとんどは米国に関するものだ。米国を愛していることは確かだが、同時にまったく愛してもいなかったことも分かった。民主主義という壮大な理想は、繰り返される愛国主義によって永遠に中傷され、汚され、悪用され、その価値を失ってきた。この偉大な国は、10年おきに欲にまみれた破壊行為を繰り返している」
作家活動を続ける傍ら、詩人、監督としても活躍し、映画への出演経験もある。1969年にはニューヨーク(New York)市の市長候補にもなった。
著名人に興味を抱き、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)、モハメド・アリ(Muhammad Ali)、リー・ハーヴェイ・オズワルド(Lee Harvey Oswald)に関する作品も手掛けた。1997年には、キリストが語り手となる小説『The Gospel According to the Son』も出版している。
生涯を通じて社会に対する怒りの声を上げ続け、1950年代には左派系新聞Village Voiceの共同創設者に。1960年代には、乱闘で数回刑務所に入り、1967年にはベトナム戦争反対を訴えて牢獄されている。自身の経験に基づき、ワシントンD.C.(Washington D.C.)での平和行進を描いた小説『夜の軍隊』では、1960年代当時の反体制的な風潮を描き出している。
反体制的で政治色の強い内容の伝記やノンフィクションの作品が多いことから、トルーマン・カポーティ(Truman Capote)氏と並んで、「クリエイティブ・ノンフィクション」と呼ばれる分野の第一人者となり、その作品は「新ジャーナリズム」の見本として称賛された。メイラー氏がジャーナリストとして書いたそのほかの作品には、アポロ11号の月面着陸について書いた『月にともる火(Of a Fire on the Moon)』などがある。
メイラー氏の作品は常に議論を巻き起こした。女性の描写の仕方でフェミニストを怒らせたこともある。1971年のエッセイ『The Prisoner of Sex』で、当時高まっていた女性解放運動に反発の姿勢を見せ、著名フェミニストのケイト・ミレット(Kate Millet)氏から「究極の男性優越主義者」と非難されたほどだ。モンローの人生を描いた1973年の作品でも、「モンローはロバート・F・ケネディ(Robert F. Kennedy)との不倫関係が原因でFBIとCIAに殺害された」と示唆したことから、批判の対象となった。
私生活では6回結婚し、9人の子どもがいる。以前、NBCのインタビューで、女性が世界を支配するのではないかと心配していると語った。「100年後には男は地球上にわずか100人しか残っておらず、女性が地球を独占している可能性があると、本気で思っている」
時が経っても同氏の驚異的な才能と鋭い物言いは衰えることはなかった。後年には、現代建築を「恥辱」、「大失敗」と非難し、「米国はこの25年でとても醜くなった」と語っていた。(c)AFP